私が人をほめたとき

ほめるということに関して、私は妙な経験をしたことがある。

ある経営問題の研究会に参加していたときのことだ。

この研究会の中に、妙に服装にこだわっている学者がいるのに私は気がついた。

ある日などは、ジャケットから靴下まで、完璧に茶系に統一してきたいた。

ご本人は相当おしゃれなつもりらしい。

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もっとも、当人の意図とは違って、どことなくやりすぎというか、ちぐはぐな感じがしないでもなかった。

会議が終った後、エレベーターでこの先生と一緒になった私は、つい話しかけてしまった。

「先生、今日はベージュで統一されていますね」

ほめようとか、気に入られようという気はまったくなかったのであるが、沈黙が続くことに対する苦痛と、若干のサービス精神とで、つい言ってしまった。

すると、学者先生は自分の高尚な趣味を理解できる人間をついに見つけた、とでもいうようにうなずいた。

これ以来、私はこの先生にすっかり気にいられてしまった。

おかげで、なにかと目をかけていただいた。

もっとも、これには副作用があって、会うたびに服装をほめなければいけない状況に追い込まれた。

こちらが忘れていると、なんとなく催促されることもあった。

これには、いささか閉口した。

このときから、この学者先生がなぜ私の言葉にこのような反応を示したのか、私はずっと考えるようになった。

拙著『リーダーの暗示学』より

リーダーの暗示学:内容詳細はこちら

相手の価値観を知ることがコミュニケーションのスタート

今日はL研クラブ会員さんにあてた、メルマガの一部を紹介します。

L研クラブ会員は、主にL研リーダースクールで資料を購読された方や講座を受講されている方に資料を提供しています。今回は、無料メルマガを購読されている方にも配信しています。

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コミュニケーションで重要なのはうまい話し方でしょうか?

実は、相手との共感なのです。

それには、相手に好かれないといけませんね。

そのためには、いろいろなテクニックがあります。

私がお教えしたいのは、相手の人の価値観が何かをつかむ力です。

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コミュニケーションは、メッセージを伝える技術と思われがちですが、実は聞く力の方が重要です。

聞く力とは、相手のニーズ(行動基準、価値観)を察知する能力のことです。

これがわからないと、いくらコミュニケーションスキルがすごくても宝の持ち腐れになってしまい、相手の琴線に触れる言葉は発せません。

そこで、役に立つのが体癖論です。人間を10種類のパターンに分類しています。

分類基準は、運動特性です。これは整体の現場から発見されたもので、

整体協会の創始者 野口晴哉がまとめたものです。

人間の動作特性は、大きく言って、上下運動、左右運動、前後運動、捻転運動、縮み運動からなります。

人によって、そのうちどれが得意かが決まっています。

それぞれのタイプには、運動特性の特徴、体形の特徴、感受性(心理特性あるいは価値観)、かかりやすい病気、音楽や絵画の好み、色の好みなど、

細かに分析がなされています。

特にリーダーにとって役に立つのは体形の特徴と価値観でしょう。

前置きはこれくらにして、では今日のクイズにまいりましょう。

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クイズ:

昨日あるリーダー関係の本を読んでおりましたら、老子の文章を見つけました。

といっても、中国語を英語に翻訳し、それを日本語に翻訳したものです。

ですから、原典がよくわかりません。どなたか教えていただければ有り難いです。

それはさておき、一応それを書いてみますね。

もしあなたが多くを語らないよいリーダーであるなら、
あなたの業が成って
目標が達成されたとき
彼らは言うだろう、
「われわれはそれを自分でやった」と。

こんな文章を書く老子の体癖は何だと思いますか?

以下略。

山本五十六語録からコミュニケーションを考える

山本五十六の語録に「①やってみせて ②言って聞かせて ③やらせてみて ④ほめてやらねば 人は動かず」というものがあります。格言として評価が高く、座右の銘としている経営者や指導者は多いようです。

これについて、拙著『リーダー感覚』k5で次のように説明しています。

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◆やってみせる(略)

◆言って聞かせて
次は②の「言って聞かせて」です。ここで大事なのは「機・度・間」でしょう。これについては、先ほどふれましたので、簡単に説明するにとどめましょう。

リーダーは、話が通らないと、部下に対してついくどくど言いたくなるものです。しかし、言えば言うほど効果はなくなります。大事なのは機です。

相手が本気で聞く気がないときは、こちらがいくら言ってもダメなのです。まずは相手が聞く耳をもつような環境にもっていくことが先です。さもなければ、相手がどうしてもそれを知りたい、勉強したいんだという気分になるまで、待つ必要があります。

それから、「度」ですが、さりげなく言うほうが効果があります。大声で怒鳴れば相手に通じるように思いますが、ふつうはあまり効果がありません。大事なことほど、ささやくように言うとよいのです。

また、平尾さんの事例にあった「さわり」も大事なことです。答えをはっきり言わずに、ヒントをわざと少々ぼかして言うのです。その方が、相手の知りたいという欲求を高めることができます。

最後の「間」についてですが、これも平尾さんの事例が参考になります。相手の集中度が高まるのを待つやり方ですね。相手がどうしてもやりたい、という気分になるまでは、さわりだけを言って、あとは待つということです。

◆やらせてみる
以下略

リーダー感覚でコミュニケーション能力を育てる

何か学ぼうとしたとき、どういう条件があれば進歩するか?

私が考える答えは二つです。

・仕事でどうしても必要になる

・やっていておもしろい、楽しい

リーダーシップをつけたいと願う人がリーダー研修などを受けるときでも同じことだと思います。

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仕事と学ぶことが直結していて役に立つか、

あるいは、勉強しておもしろいと思うことのどちらかでしょう。

リーダーの仕事をしていても、同じでしょう。リーダーをやっていておもしろいと思えたら、リーダーとしての力がつくはずです。

では、どうしたらリーダーの仕事をおもしろくできるか?

それが拙著『リーダー感覚』を書くひとつのきっかけになりました。

どんな職業でも、楽しいと思えなかったら長続きしませんし、成功できません。リーダーも同じでリーダーをやっていて楽しくなることが大事。そこで、これをリーダー感覚と名づけたわけです。

逆に言うと、リーダーとしての適格性を判断するうえでは、リーダー感覚があるかどうかが最良の判断基準になるはずなのです。

そういうことで、リーダー感覚をどうやったら獲得できるかを考えた結果が、『リーダー感覚』のエッセンスといえます。

k5リーダー感覚

極めて簡単に言うと、「人は褒められることがとても好きな動物」だということです。

そこで、リーダー感覚を高めていくには、人をほめる技術から入っていくのがよいだろうと思い至ったわけです。

この効果には三つがあげられます。

  • 第一に、人間に関心がもてるようになります。その結果、人間に対する観察力が養成されます。
  • 第二に、相手の反応が理解できるようになります。つまり、相手の行動を分析でき、相手の行動特性がつかめるようになります。
  • 第三に、相手との共感が得られるようになります。これはコミュニケーションの原点です。
  • 要するに、リーダー感覚を高める訓練によって、まわりの人に関心がもてるようになり、人間に対する理解力が格段に進歩するわけです。

    異なるタイプの営業所長とのコミュニケーション

    人間の行動基準の違いでどういう行動が起きるのか、以下の事例をお読みください。

    新しい営業所長が赴任してきました。

    いままでの所長は、
    -訪問計画書をさっさと書いて、すぐに外回りをすればよかった。
    -計画書や報告書は薄ければ薄いほどよいと言っておりました。
    -それに、事務所に営業マンがいると怒り出しました。

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    ところが、新任所長は、
    -きっちりした計画書をつくらせ、
    -しかもそれぞれについて微に入り細に入り質問するのです。
    -その質問がまたねちっこい。そんなことを聞いて所長はそれを何に使うのか。みんな不思議に思うのですが、それがわからないと不安らしいのです。

    おかげで営業マンは外回りをする時間がとれないとぼやきだしました。

    さて、上の営業所長はどんなタイプでしょうか?

    前の所長は前後型(利害得失に敏感で行動的なタイプ)です。

    後任所長は上下型(頭脳派で、思考が得意なタイプ)です。

    このことがわかると、いろいろな対応策が浮かんできます。

    前後型は情緒欠乏という感じです。コストパフォーマンス第一主義です。成果主義の権化というべきか。

    上下型は理論派です。ただ現実感が乏しい面があります。

    感受性の特徴は細かくまとめられていますので、それを応用していけばよい付き合い方が理解されます。

    体癖論と感受性分析

    昨日『リーダーの人間行動学』をL研リーダースクールサイトにてご購入いただきました。また、ゴールデンウィーク中にも4冊ご購入いただきました。ありがとうございました。

    L研リーダースクールサイトから拙著をご注文いただきますと、感受性解説のebookを特典としておつけしています。ぜひ当サイトをご利用ください。

    さて、今日は体癖論と感受性分析について基本をご紹介します。====

    感受性分析は体癖論から導かれているものの一部です。どんな内容か短い動画をつくってありますので、ご興味のある方はご覧ください。

    体癖論は整体協会の創始者・野口晴哉がまとめた人間の見方です。体癖論では人間を立姿運動の特徴から12種類に大雑把に分類しています。そして、それぞれのタイプについて、心理特性、体形の特徴、運動特性、病気の特徴、好みの色など、多岐にわたって分析しています。

    これまでは体癖は、主として整体の現場で、体の特性に応じて整体をしていくための技術として活用されてまいりました。

    しかし、感受性分析などは、一般的な対人関係などにもおおいに活用できるものであると思います。心理特性ばかりでなく、肉体特性も関連づけされていますので、人間を見る上でリーダーにとって非常に学ぶ価値があります。

    体癖と感受性

    説得の基本は感受性の理解から2

    昨日のつづきです。

    人間にはある心理的傾向というものがあって、その傾向に沿った空想しか浮かびません。これを感受性傾向と呼びます。

    ですから、相手の感受性傾向を知っていれば、どのような空想傾向があるか、だいたいわかります。それをもとに、暗示技術を用いるわけです。

    逆に言えば、この感受性傾向に沿った話をしないと、相手は全く反応しません。ほとんど外国語で話しかけるのと同じことになってしまいます。
    リーダーの暗示学こちら

    拙著『リーダーの人間行動学』でケースとして取り上げた空海と最澄の対立は、お互いが相手の感受性を理解できないことから生じているといえるでしょう。

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    二人は、9世紀前半における仏教界における巨頭でした。空海は真言密教、最澄は天台宗の開祖です。両者はまったく違う感受性を持っていました。

    空海は天才肌で、体感を非常に重視する人でした。一方、最澄は学者肌で秀才、勉強大好き人間という感じでした。

    最澄はある理由から、空海に密教を教えてほしいと頼んだのです。すると、空海は快く応じました。ただし、修行については、空海の直接の指導を受けないとだめだと言ったようです。

    密教は、インド土着の呪術がもとにあるので、印を組んだり、行をすることがとても重視されたのです。それには、師から直々に教えを受けねばならない――そうれが空海の考え方でした。

    ところが、最澄は勉強家でしたので、そういうのが全然わからない。ひたすら、空海から経典を借りまくり、一生懸命それを読んで勉強しようとした。それで、ついに空海が怒り出してしまったのです。それが有名な二人の対立の発端でした。

    私に言わせれば、空海が最澄に自分流の修行法を求めるのは、しょせん無理なことでしたね。最澄は、とにかく学者肌、お勉強家なのです。

    そういう人って、我々のまわりにもいるでしょう。そういう人に、いくら現場を重視しなきゃだめだって言ったところで、言うことを聞きませんよ。理屈ばっかり言ってます。実際には、現場の感覚が、まるで理解できない人なのです。

    さすがの空海さんも、そこまで思いが至らなかったようです。基本的に、最澄には密教は無理だと見切りをもっと早くつけた方がよかったようにも思います。

    最後は最澄の感受性を逆手にとって縁切りをしたんでしょう。しかし、後味は悪かったでしょうね

    k6こちらで立読み

    説得の基本は感受性の理解から

    空想というのは、思った以上に我々の行動に影響を与えております。

    それは空想の方が理性よりも人間行動に及ぼす影響が圧倒的に強いからです。

    たとえば、ものすごくお金にうるさい人がいて、ある日死んでタンスをあけたら何千万円も入っていたという話を聞くことがあります。

    こういう人は、どういう空想をもっているのか、考えてみてください。

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    そうです。いつも、お金を失うことばかり空想しているのです。

    どうして、そうなったかというと、よほどお金でつらい思いをした経験があるからでしょう。

    空想は、体験と記憶ががっちりと絡み合って生まれるものです。ですから、それを転換させるリーダーの暗示技術とは、相当難しいものなのだということが、おわかりいただけると思います。

    リーダーの暗示学こちら

    とはいっても、私は簡単なところからご紹介しています。案外みなさん、暗示効果に気がつかずに使っていることがあります。

    ところで、人間にはある心理的傾向というものがあって、その傾向に沿った空想しか浮かびません。これを体癖的な感受性傾向と呼びます。

    ですから、相手の感受性傾向を知っていれば、どのような空想傾向があるか、だいたいわかります。また、それをもとにして、暗示技術を用いるわけです。

    逆に言えば、この感受性傾向に沿った話をしないと、相手は全く反応しません。ほとんど外国語で話しかけるのと同じことになってしまいます。

    左右型3種の特徴は食に非常に影響されること。まあ、食いしん坊さんなのです。

    3種が悩んでいるときは、「おいしいものでも食べに行こうよ」と誘うと、食べ物の空想がわいて、元気をもたらすことがしょっちゅうなのです。

    なまじ真面目に相談にのるよりも、このような言い方の方が元気を取り戻させるのによい場合もあります。

    人間行動や価値観を体癖から見ていくと、リーダーのコミュニケーション手段はずいぶん広がるものです。

    技術屋がリーダーになるためには

    技術リーダーとはどういうものなのでしょうか?

    技術バカというか、専問だけをやっていく研究者のようなイメージであれば、それほどコミュニケーション能力には気を使わなくてもよいのかもしれません。

    技術者のイメージがつかみにくければ、アナウンサーのような職種を当てはめてみればわかりやすいでしょう。

    アナウンス技術を売り物に60過ぎても第一線でアナウンサーやキャスターとして活躍できる人はほんの一握りでしょう。しかし、それが許されるのはよほど能力のある人でしょう。

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    だいたいは管理職に移行するわけです。

    また、そういう人でも、資金協力を得たりするにはコミュニケーション能力が必要ではないかと想像します。

    ましてや、「そこそこできる」技術者だったら、対人折衝のためのコミュニケーション能力を鍛えておいてそんはないように思います。

    これも一般的なイメージですが、技術屋さんはあまり人間には興味がない。興味がないから技術系を選んだのかもしれません。

    しかし、そんなことを言ってられない時代です。コミュニケーション能力はいたるところで必要とされるでしょう。

    リーダーとしてメンバーをまとめるとき、上下階層や横の組織との交渉や折衝のとき、顧客との折衝のとき、などなど。

    私は、技術系の人がコミュニケーション力を磨く方法をいま考えています。基本はL研リーダースクールの通信講座ですが、技術系の人は当然ながらITの新しい技術に強いはず。ですから、そういうものをフル活用して勉強するとよいと思います。

    お知らせ

    L研リーダースクールでは、技術リーダーのためのヒューマンスキル講座を開設いたしました。

    高度なコミュニケーションスキルの獲得とチーム運営の基礎能力をつける講座です。

    専門のブログを立ち上げました。そこに詳細がございます。

    「技術リーダーのヒューマンスキル講座」はこちら

    通信講座とコンサルティングを融合した形式です

    私はテレビ電話的な授業形式をやってみたいと思っています。幸い、skype や Google+ でいまでは無料でそういうことができる時代です。

    skupe チャット

     

    Google+による授業の模式

    ドラッカーのコミュニケーション論

    ドラッカーによると、意思の疎通が効果的に行われるためには、「情報」と「意味」の二つが必要なのだそうです。――『新しい現実』(ダイヤモンド社、376頁)より

    さらに言うと、意味が存在するためには、「通じ合い」がなければならないと、ドラッカーさんは言っています。

    その通じ合いには、「解釈の能力が必要である」とも言っています。

    ドラッカーさんは、「解釈の能力」とは、こういうことなんだと言っています。

    「『東京の連中の考え方を知っているから、このメッセージの意味がわかる』、あるいは『ロンドンの連中の』とか『北京の連中』と言い換えなければならない」

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    「『連中の考え方を知っている』ことが、『情報』を『意思の疎通』に転換する触媒になる」とこうドラッカーさんは言うわけです。

    要するに相手のことがわからんと、つまり人間がわからんと意思疎通できないということ。私がいつも言っていることと、たいして違いません。

    たとえばですね、「公」の世界に住んでいる人、つまり役人の「考え方」について触れてみましょう。

    この人たちは「誰からも愛されたい」という願望が特に強いのです。あるいは、世間から非難されることが大嫌いだ、と言ってもいいでしょう。

    だから、マスコミに悪い記事が出るとすごくナーバスになります。いつも世間の評判を気にしているのです。

    それから、役人は責任をとるのを嫌がりますよね。たとえ前任者のミスでもそうですよね。公共事業の失敗なんかでも、役人は責任取りませんから。それが彼らの処世術と大いにかかわっているのでしょう。

    それはそれでもいいのですが、ただそういう考え方が基本的に合わない分野があります。それは研究開発の部分です。

    これは失敗の確率がかなり高い。数字はわかりませんが、千三つ(千に三つの成功)くらい低いはずです。

    ところが、役所はそれだと困るわけです。税金の無駄使いだと言われるのが怖くてしかたない。そこで、研究開発で、失敗しにくいテーマを選ぶ。

    つまり、二番煎じ、三番煎じとか、ちょっとした改良ですね。あるいは、うまく成功しなくても、なんとか格好つけられるもの、なにかバイプロダクトができて格好だけつけられるもの、ですね。

    ということですから、役所が研究開発に参加してあまりうまくいかないだろうなと思います。画期的なものがうまれにくいということです。

    もうひとつ役人の特性は、自分の領域以外に関心をもたないこと。自分のところさえよければ、あとは知らない、口をさしはさまない。そのため、部分最適化はできても、全体最適化ができない。

    消費税増税の財務省の態度などはまさにこれです。

    原発再稼働に対する経産省や財務省の態度もこれです。自分の省にどれだけメリットがあるかということで、行動が決まってしまう。