組織のなかで意見を通すためのコミュニケーション戦略

これは拙著『暗示型戦略』に詳しいのですが、私はこのテーマについては、いろいろなところで触れています。

拙著『伝動戦略』では、上杉鷹山の藩政改革を分析しています。私は世間で言うほど、鷹山の改革が上手くいったとは思っていません。

その理由は本をお読みいただくとして、ここでは組織のほとんどが反対するテーマをいかにse説得に導くか、そのエッセンスを紹介しておきます。

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「説得は受容度の高い人から、というのがセオリーである。

イノベーションの浸透を無理やり加速させようとするのは、いちばんまずい手である。

いたずらに力でごり押ししても、うまくいかないものだ。

組織の中には、新しいものにすぐ飛びつく人、じっくり様子をうかがってからでないと採用しない人、最後まで拒絶する人というように、いろいろなタイプが混在している。

イノベーションを普及させようと考える者は、どういう手順で受容度の異なる人々を説得していくかを十分考える必要がある」

この手順に興味のある人は、暗示型戦略の説明サイトをご覧ください。

リーダーと部下の信頼関係無しに良好なコミュニケーションはありえない

今日のテーマは、リーダーと部下の信頼関係はいかに築かれるか、ということです。

お互いの信頼関係がないと、いくら卓越したコミュニケーションスキルを用いても、話が通らないのは自明でしょう。

信頼関係を築くには、精神訓話的に言えば、部下の成長を願えるような人でありなさい、ということ。

以下は拙著『リーダー感覚』からとってきました。

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「真のリーダーは、部下を指導するとき、部下の成長を願うという視点が自ずと芽生えています。このような気持ちになれるには自信が必要です。自信を築くためには、人間の観察力、理解力が必要でしょう」

「人間を観る能力とは、多様な価値観を認識し、それを認める能力のことです。自分の価値観だけしか理解できず、それに頼って人を評価している間は、人間としてまだ子供だと言うことです。それでは、部下の長所を認めることができませんし、成長を願うこともできません」

人間を観る能力はL研リーダースクールでつけてください。

さて、もうひとつ、これはリーダーの振る舞いに関すること。これは拙著『暗示型戦略』からもってきました。

「リーダーの確信が強いほど部下も断言する。リーダーの信念こそ、プロジェクトの成否を決定する。

信念あるリーダーは右顧左眄しない。迷いを見せない。では、リーダーが迷っていると受け止められる行動とはどのようなものか」

  1. あれもこれもやろうとするとき。自信のあるリーダーなら、それほど多くの手段をとらない。これしかないと確信してやるのがいちばん力が出るからだ。
  2. 日ごろと違う行動をとるとき。もし、普段と違う行動をリーダーがとると、部下は疑心暗鬼になる。
  3. 言行不一致。これは言うまでもなかろう。
  4. 突然の方針変更。状況に応じて臨機応変に対応する必要があるのは事実だ。だが、それによって部下を驚かせてはならない。最近の橋下大阪知事の民主党に対する評価の変更、あるいは原発再稼働に対する意見の変更は、橋下知事一流のかけひきなのかもしれないが、多くの関係者、とりわけ維新塾に参加した人たちに不安を抱かせているのではなかろうか。このような状態が続くと、組織としてのまとまりが失われる危険がある。

コミュニケーション力がつく勉強環境とは

今日はコミュニケーションについて直接扱うのではありません。コミュニケーション力をつける環境を考えてみたいと思います。

たとえば、文章というのは、もちろん書くだけでも訓練になりますが、やはり読む人を意識して書くのとそうでないのとでは、気構えが全然違ってくるのです。

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そういう場をつくるというのは、やる気を高める上でとても大事なのです。みなさんも、どうやったらそういう場がつくれるか、いろいろお考えになるとよいと思います。

私は若いころ、ある武術の初等試験を受けたことがあります。試験というのはおもしろいもので、だいたいふだんの実力が出ない。70%くらい出たら、まあまあなのではないでしょうか。すると、先生に「それが本当の実力なんだよ」と言われわした。

また、ある整体の先生は、稽古をするとき、時々ご指命で、みんなの見ている前でやらせることがあります。みんなの前で稽古すると、集中力がますので、時々そういう稽古法をとるらしいのです。

人の目を意識して稽古するのと、そうでないのとでは、やはり気合いに入り方が違いますね。

L研リーダースクールの通信講座も、そういう発想でやっています。

課題を与えて、必ずレポートを提出してもらう。課題を与えずにただ講義を聴いているだけでは力はあまりつかないと思うんです。また、課題をやったとしても人に見せないと、どうしても気の入り方が違ってくる。

人の目を意識すると、そこに力が発揮される。

みなさんも、ご自分の状況に合わせて、いろいろ工夫してみてくださいね。

ゆっくり話すのがよいコミュニケーション法だって?

印象がみるみる変わる話し方の例として、ゆっくりと話すことをあげる人がおります。

好きなことや自信のあることを話すときや、相手が関心を示す様子が分かるとうれしくなって早口になるものなのだそうです。また「聞いてほしい、もっと話しがしたい」という気持ちが先走り、体も前のめりになるとか。

こういう人は、押し付けがましさが強調されてしまうそうで、早口だと意識していない方でも、普段から少しだけゆっくり話すことを心がるとよいそうです。

どうでしょうねえ。みなさん、どう思います。

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私は絶対不可能だと思っています。人間には人それぞれの快適「速度」というのがある。それを知らない人は、訓練すれば話すスピードはコントロールできるものだと思っている。

しかし、会話のはじめのうちはコントロールできても、しばらくすれば地が出てしまいますね。これは身体についているものですから、まず不可能。

私の知り合いの先生なんか、猛烈に早口でした。頭の回転速度が猛烈に早いので、舌の回転がついていけないのです。

こういう人が、ゆっくりしゃべると、そのうち自分が何を言っているのかわからなくなってしまう。身体についている性癖というのはそう簡単に変えられません。

だから、速度を落とそうなどと考えず、早口は早口自体を変えるのではない別の工夫を考えた方がよいと思います。

しゃべる人にも固有の速度があるように、聞く側にも固有の速度があります。自分より遅いとイライラすることがあります。あまり早いとついていけないこともある。

また、ものすごく遅い速度でしゃべられると、妙なことに「おごそか」な感じがしてくるものです。

たとえば、祝辞なんかそうやるといい。当たり障りのない祝辞をつくってみました。早口でそれをしゃべるのと、ゆっくりしゃべるのでどんな感じを受けるか、声を出して読んでみてください。

「このたびは、創業40周年おめでとうございます。

これもひとえに、社長をはじめ従業員の方々のご努力のたまものだと思います。

また、関係者の方のご支援やお客様のご支持があったればこそだと思います。

どうか、これからも、よいサービスを創意工夫され、地域のため、社会のためにご尽力いただけますよう、心よりお願い申し上げます」

なんの変哲もない祝辞ですが、これを天皇陛下が式辞を読み上げられるように、ゆっくりと穏やかに話すわけです。

どうです、粗忽者のあなたでも、なんだかおごそかな気分がしてきたでしょう。

これなら、結婚式のスピーチでも困りませんね。文章は短くていいから中味をいろいろ考えなくて良い。

それに、紙に毛筆ででも書いておいて、それを読み上げるだけでいいわけで、これくらいの長さなら、話す速度はコントロールできるでしょう。

ほめる技術はいろいろな応用が可能

ほめることなど単純でおもしろくないと思われるかも知れませんが、応用はたいへん広いものがあります。

みなさんは、こんな経験をされたことはありませんか?

自分があることに関心を抱いていると、それに関する情報が思いがけないところからやってきたり、電車のつり広告にあるのにふと気づいたりする。

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こういうのを精神科学の人は“引き寄せ”だと言うかもしれませんが、

情報は身のまわりにいくらでもあるわけで、たまたまそれに気がついたということではないでしょうか。

ふだんなら気にもとめずに見過ごしていたことが、ふと目に入る。それは、問題が意識に上っているからでしょう。

焦点が当たっているからこそ、目に飛び込んでくるような感じになるわけです。

これは、スポットライトを当てるような感じでしょうか。

では、これをリーダーがスタッフに行ったらどうでしょう。

スタッフのよいところをほめるのです。つまりはスポットライトを当ててあげる。

すると、スタッフはそこに意識がいき、それ以後、そこに焦点を無意識に当てる。

こうなると、意識はどんどん育っていきます。

これが、認めるという技術です。認めた方向に引っ張る技術。

あるいは、半歩先の段階にスタッフの意識をもっていかせることもできますね。

これは、スタッフの技術を育成するときに使えます。

いろんな応用ができそうに思いませんか?

チーム運営のためのコミュニケーションの要諦

たまには、チーム運営のコミュニケーションを扱いましょう。これはL研リーダースクールでは高等人間行動学科で学ぶことになっていますので、このブログではあまり取り上げていません。

重要なことは、リーダーが目指すべき方向を示すことですが、それをコミュニケーションで具体的にどう表現したらよいかを考えてみます。

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残念ながら「こうしてほしい」と方向を言っただけではあまり効果がありません。効果があるのは、リーダーの行動に沿っている人の行動をほめることです。

つまり、「(自分が)チームのなかで増やしたい部分に(自分から)反応する」ようにするとよい結果がでる、というのです。

もっとわかりやすく言えば「よい反応を示している人をいちはやく集団の中で見つけ、彼らを、認め、励ます」ということ。

たとえば、高校生のワークショップでは、

「あっ、そこの後ろの男子の人たち、積極的に動いてくれてますねー! いいですねー!」
「あっ、前の女子の人たちは、もういすを移動して円になって座っていますね。動きがかろやかですね」
「みんな協力的に動いてくれて、進行上とっても助かります。ありがとう!」
こう言うと、ほかの子たちもだんだんそのように活動してくれるのだそうです。

大人の場合でも同じ。

10人くらいの社内グループで、常習的に遅刻する人が2,3人いたとします。このとき、新人リーダーはどう対処すべきか。

何も言わないのは最悪。しかし、遅れた人間に文句を言えば、場の雰囲気が暗くなる。そこで、こうする。

「まとめ役の私が新人であるにもかかわらず、非常に多くの先輩が、毎回時間をきちんと守って集まってくださっていること、大変助かっております。とくに本日は棚卸しの時期で、仕事を抜けてくるのも大変だったと思いますが、時間厳守できてくださってありがとうございます」

このように言うと、いつも時間をきっちり守ってきている人は、認められたので悪い気はしない。これからも時間を守っていこうと励まされる。一方、遅刻し続けている人は、

「まとめ役が新人だから、少々遅れても、まあいっか、と思ってきたけど、みんな意外にちゃんと協力してるんだな」

「遅れていたのは俺だけ?」と時間厳守で来ている人に、神経を使い始める。

チーム運営というのは、よいところにスポットライトを当てるようなものですね。

自尊心を満たすコミュニケーション

人間がいちばん大事にするのは自尊心かもしれません。

自尊心とは誇り高いこと。自分を高く見ている、あるいは、高く見られたい、ということ。

多かれ少なかれ、誰にでもあるといえます。

と同時に、ほとんどの人が自分に自信がない。

自尊心と自信のなさを併せ持つのが、大方の人間である、ということです。

その人間を説得するときはどうしたらよいか。あるいは指導するときどうしたらよいか。

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答えは、自尊心を満たすようにしながら、自信をつけさせる、ということです。

指導のときには、どうしても相手の欠点を指摘せざるをえないときがあります。

この場合は、特に相手の自尊心を傷付けるようなことをしたり言ったりしてはいけません。

人格を攻撃する、肉体上の欠陥を言う、才能を否定するなどはその最たるものでしょう。

やさしい看護婦さんなら、人格攻撃をされてもじっと耐えてくれるでしょう。

だから、言う方のリーダーはあまり大ケガはしないですむかもしれませんが、格闘技家に言ったら命さえ危ないですyほ。

中国拳法の師匠が、どうしようもない荒くれ者を破門しようとするとき、どう言うと思いますか?

「お前はどうしようもない奴だから、さっさと出ていけ!」なんて言ったら、待ち伏せして闇討ちされますぜ。あるいは毒を盛られるか。

そういうときの言い方は決まっている。

「君の進歩は素晴らしい。ぼくにはもう教えるものがない。ぼくが君にふさわしい師匠を紹介してあげよう。あるいは、いっそのこと道場をもったらどうか」

リーダー強味診断チェック

いつも相手の行動基準を観察せよと口うるさく言う私ですが、たまには、あなた自身のことを考えるのもよいでしょう。

もちろん、これで相手の特性を考えるのも可能です。

感受性をチェックしてみようという試みですが、本当は体つきから判断した方が正確です。でも、ここではそれができませんから、心理特性で見てみましょう。

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リーダー強味診断チェック

  • 以下の項目から、自分にあてはまると思える項目2つ(最もあてはまるものと次にあてはまるもの)を選んでください。
  • 人に聞いてみると、自己評価とは違うかもしれませんが、参考にするのもよいでしょう

チェック項目

  1. 考えるよりすぐ行動してしまうが、あとで後悔することがある
  2. 大勢の人と社交することが得意でにぎやかなことが大好き
  3. 問題があったとき、自分で答えを考えるより人の答えを待つ
  4. 人の面倒を見るのが好きで、人に頼まれるとイヤと言えない
  5. 自分の気持ちよりも相手の気持ちを大事にし、
    人の気持ちを慮ることができる
  6. 情熱のこもった言葉で、人を口説いたり感化したりするのが
    得意だが独演会になりがち
  7. 信念に忠実で、信念をあくまで守ろうとする
  8. 1番でいるより、2番手で追う立場にいる方が力が出る
  9. 直接的な表現を嫌い、それとなく言うことが好き
  10. たよりがいのある異性のパートナーにいつもそばにいてほしい
  11. 一つのことを長い時間集中して行うことができる
  12. 単純なことでもコツコツと努力を続けることができる
  13. 誰からもよい人と言われるほど、人当たりがよい
  14. 物事を理論的に考える。また、人のアイデアを真似するのが嫌い
  15. 既存のアイデアを分析して、よりよいものに改良することが得意
  16. 上位の者には厳しく、下位の者には優しい
  17. グループのなかでムードメーカー的な役割を自然にしているが、
    責任はとりたくない
  18. 何事も合理的に判断でき割り切りが早く、いくつかの仕事を
    並行して行うのが得意
  19. 一匹狼で、孤独に強い
  20. 負けず嫌いで、何事も負けまいと努力する

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リーダーは声なき声で人と対す

朱に交われば赤くなる、ということわざがあります。

これは、一種の感応現象です。

感応とは、以心伝心というか、ラポールともいいますね。

感じあって、同じような気持ちになることです。

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おそらく、優秀なセールスマンはこの能力が相当高いのではないでしょうか。

あるセールスマンに聞いた話。

すごく調子がよくて気分がいいときは、訪問して話を聞いてもらえると、すぐ買ってもらえる。

ところが、スランプになって気分が暗いときは、ベルを押しただけで門前払い。

このことから推測するに、セールスする前には、お客さんに対して明るい気持ちで接しなければ、いくら営業トークがうまくてもダメのようです。

ですから、朝家を出る前に、鏡を見て笑顔をつくれ、というセールスの本を読んだ覚えがあります。

いや、セールスでなくて、精神科学の本だったか。

ともかく、感応現象をうまく使えれば、非常に有効なのでしょう。

ですから、セールストークを勉強する前に、こっちも学んでおいて損はなさそうです。

いつも明るい気分をまわりに振りまく自分を維持するということもリーダーには大事なことかもしれませんね。

私が個人コンサルティングを行うときは、いつもこういうことを肝に銘じております。

最後はコミュニケーションの技術ではなく、そういう気分の伝播のようにも思うわけです。