L研秋の新講座が始まります

9月から始まる新しいリーダー通信講座の内容がようやく固まりました。

従来の初等科と中等科の一部をくっつけて、それを半分に分けました。

名づけて、初等科Ⅰ初等科Ⅱ。

少しスケジュールをゆったりさせて、期間も9週間ずつにし、それぞれ課題レポートを1回にしました。これまでの半分です。

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私はガンガンやってあげた方が親切でいいのではないかとも思うのですが、あまり激しいのは好きでない人が多いので。

でも、ハードボイルドが好きな人には、初等集中科というのをつくりました。

これは3週間ごとに課題レポートが出て、それを5回行います。15週間で5回です。これだけやったら、すごい勉強になりますよ。

なにしろ、自分で問題見つけて、自分で解いてらっしゃい、というスタイルですから。人にものを教わるものなんて考えているのは甘い、甘い。

自発性第一です。

なにしろ、私の顔は甘いが、心は鬼のごとしでして。

そう言うと、捻れがかった人なら、「何を言いやがる」と反発して、「いっちょ、やってやろうじゃないか」なんて言い出すんじゃないかな? ははは。

今回は、プラチナ会員制度を設けました。会員になっていただくと、感受性分析などの資料が閲覧できます。年会費が5000円です。通信講座の受講生は初年度年会費が無料という特典つきです。

秋は勉強の季節ですよ~。

暗示技術はほめる技術としても使える

「すごい、すごい」「うまいなあ」とほめるばかりが能じゃない。こんなのはダサイ。相手も直接的なほめ方ではかえって警戒するかもしれない。

以下は、『リーダー感覚』ではなく、拙著『リーダーの暗示学』(116-123頁の抜粋)の事例です。

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マッカーサーと吉田の最初の会談

昭和二十年九月二〇日――吉田茂が初めてマッカーサーと会った日である。当時、吉田は外務大臣に就任したばかりだった。

吉田は、昭和天皇とマッカーサーの会見を交渉する目的で、マッカーサーを訪れた。会談が始まると、マッカーサーは執務室の中を行ったり来たりしながら吉田に話をした。

これはマッカーサーの癖だったのである。吉田はマッカーサーの話を聞き漏らすまいと、マッカーサーの動きに合わせて、体の向きをしょっちゅう変えなければならなかった。

しばらくして、吉田は突然吹き出した。マッカーサーを見ていたら、檻の中でうろうろ動きまわるライオンの姿が浮かんだのである。すると、マッカーサーはどうして笑ったのかと尋ねた。

吉田は困ったと思ったが、平然と答えた。
「ライオンの檻の中で講義を聴いているみたいだ」

すると、マッカーサーは、吉田の顔を見て、自分もゲラゲラ笑いだした。

マッカーサーの態度について、工藤美代子は、次のように解説している。

「およそユーモアを解するとも思えないマッカーサーが、吉田の言葉に大笑いをしたのは不思議な感じもする。老練な外交官である吉田は、いつの間にか相手の心を取り込む術(すべ)を知っていたのかもしれない。また、吉田の英語力が、当時の日本人としてはズバ抜けていたのだとも解釈できる(9)」

◆[設問]

なぜマッカーサーが笑いだしたか、その理由を読者に考えていただこう。ヒントをひとつ。マッカーサーが、吉田の言葉から何を空想したかを考えることである。

ちなみに、この会談以降、吉田とマッカーサーの間には、他の日本人との間には見られない良好な関係が続くのだが、すべてはこの時点で決まったと言っても過言ではないように思われる。

答えは『リーダーの暗示学』にありますよ。

自立心を発揮させる

よく知られている笑い話です。

ハンバーガー店に来てお客が注文した。

「ハンバーガー、30コください」

店員はにっこり笑って答えた。

「こちらでお召し上がりになりますか、それともお持ち帰りされますか?」

マニュアル教育を嘲笑するジョークですが、このやり方ですとある一定のレベルまでは技能を引きあげることがわりと容易にできるでしょう。ですから、アルバイトを使って仕事をするようなファースト・フードなどには向いているのかもしれません。

しかし、もっと高度なレベルになったら、間に合わなくなるでしょうね。顧客毎に対応を「カスタマイズ」しないといけませんから。

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マニュアル教育だけやっていると、結局人間はバカになりますね。自分で考えなくなるわけですから。

教育に於いて最も排除すべきは依存心です。人が教えてくれるだろう。誰か答えをもってきてくれるだろう。

しかし、もっと悪いのは、「本を探せば答えがあるだろう」「この手法を使えば問題は解けるだろう」

問題というのは、教科書で定義できないわけです。実際はひとつひとつ違う。また、答えを解く人ももちろん違う。となると、自分で問題を解く能力をつけないと仕方ない。

「教えてくれ」という態度の人は伸びません。レベルの高い人を見て、自分なりに工夫する態度がないと能力は伸びません。

L研リーダースクールの通信講座もこういう方針です。自分で問題を解くことを求めるわけで、しかも自分で問題を見つけてこいと言うのですから、えらい野蛮な教育法です。

私は、いつもどこまで教えたらいいのか悩むんですよ。もっと教えたくてむずむずするんですが、ここで教えない方がいいだろうか、などとね。教える立場を保つというのも結構難しいんですよ。

いずれにしろ、才能があるかないかは、「やる気」とか「仕事への情熱」「思い」があるかないかで決まってしまうわけです。やる気のない人にいくら教えても仕方ないということでしょうか。やる気のある人は、L研リーダースクールで学ぶと伸びる。だから、企業研修のようなお仕着せの研修プログラムとしては向かないかもしれませんね。

叱るのは、怒りがごっちゃになるので難しい

叱るというのは指導のひとつだと思うのですが、現実には怒りとごっちゃになっていることが多い。

それに、叱ることは欠点の指摘と一体になるケースが多いのですが、それは相手にはなかなか痛いものです。

分かっていればこそ、余計痛い。ところが、そこを撞いてしまうものだから、相手は意気消沈するか猛反発する。ですから、叱らないほうが私は無難だと思っています。

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それから、欠点を矯正させるにも言い方がある。「そこを直すともっとよくなるよ」という言い方を覚えたほうがいい。

このあたりは、私の『リーダー感覚――人を指導する喜び』に詳しく書いてありますから、興味のある方はお読みください。

日本IBM最高顧問の北城恪太郎氏がかつて「私の課長時代」というコラムを書いておられまして、そのなかに怒ることについて触れておられました。

北城さんは「とにかく怒らないことを心がけました」と言っています。英語では「Don’t shoot the messenger」というんだそうですよ。

〝情報をもたらす人間を撃つな〟ということだそうです。

「怒ると分かっていたら社員は悪い話を上げません」

そうなんですがねえ。なかなかそれができる人はいません。それで、裸の王様になってしまうのです。そういう例は私もよく見ました。ふだんは割合冷静な人が、話を聞いて不快そうな顔になるならまだしも、怒り出すんですから驚きますよ。

私はそういう人間をいちばん軽蔑してしまう。私自身がそうできているかどうかは別ですが……。できないから、そう思うのかもしれませんが。

私がそういう立場にあるときは、黙っているしかありません。口を開いたら、とんでもないことを言いそうになるので。しかし、それも難しい場合がある。「沈黙は最大の侮辱」と思っている人がいますからねえ。

リーダー感覚を養うのが第一歩

リーダーシップについて、いろいろな勉強をしないといけないようです。

ある研修機関のセミナーには、こんな項目がずらりとならんでいます。

  • ビジョン構想力(倫理思考、環境分析、情報収集など)
  • 組織構築力(コンピテンシー開発、人材評価、プロファイリングなど)
  • 人を動かす力(バリュー、コミュニケーション、チームビルディング、コーチング)
  • 見識拡大

たしかに、こうものがとても大事だというのはよくわかります。しかし、たいへんだろうな、とも思います。やればかなり効果があるでしょう。

ただ、こういうのができる基礎条件というのがあると思うのですよ。それは人間に関心をもっている、ということ。

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リーダーとは、自分で仕事はできないわけです。人にやってもらってなんぼの職業なのです。だから、人間をどう動かすか考える前に、目の前にいる人間に関心がもてる人でないといけないように思うわけです。

それで、私はそれをリーダー感覚と呼んでいます。まずは、そのリーダー感覚を耕す方が先であり、しかもそれができればあとあとの進歩がずっと早いと思っています。

そのリーダー感覚を開発するには、ほめる訓練がいちばんいい。

ほめる訓練のメリットは、三点ありますね。

  1. 第一に、人間に関心がもてるようになります。その結果、人間に対する観察力が養成されます。
  2. 第二に、相手の反応が理解できるようになります。つまり、相手の行動を分析でき、相手の行動特性がつかめるようになります。
  3. 第三に、相手との共感が得られるようになります。これはコミュニケーションの原点です。

要するに、リーダー感覚を高める訓練によって、まわりの人に関心がもてるようになり、人間に対する理解力が格段に進歩するわけです。

リーダーは人に仕事をしてもらって、成果をあげるのが任務ですから、まわりの人のことが理解できなかったらどうにもなりません。それを無理なくできるようにするのが、リーダー感覚訓練なのです。

9月から、L研リーダースクールでは初等科でこの面を中心にしたプログラムでご提供するつもりでいます。

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■リーダー感覚に関する参考書籍

本稿は佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)の一部を抜粋引用しながら、加筆したものです。

本書は、リーダーシップを実践的につける訓練法を紹介しています。極めて泥臭い現実的な方法論です。特に初任リーダーはまずここからお入りください。

xx解説はこちらからどうぞ

コミュニケーションと承認欲求

承認欲求とは

私の理想とする指導とは、メンバー一人ひとりの興味と能力が満たされるように、個別指導が的確に行われることです。

なぜそういうものが必要とされ、またリーダーに求められるのかというと、人間には、「自分を認めてほしい」という、根源的欲求が存在するからです。心理学者のマズローは、これを社会的承認欲求と呼んでいます。

多くの人は、認められることに飢えています。ですから、認められるということは、動機づけに強く影響するのです。

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にもかかわらず、実に寂しいことですが、サラリーマンはほとんどほめられる機会がありません。ですから、ちょっとほめられただけでも感激する人が多いのです。もし、社長からほめられようものなら、サラリーマンは天にも昇る気持ちになります。

ところが、社長のような地位にある人物でさえ、ほめられると素直に喜びます。このことを知ったとき、私は正直いって意外な感じがしました。もっとも、地位が上の人ほど勲章をほしくなるというのですから、認められたいという心理は地位には関係ないのでしょう。

 

パットン将軍の巧みさ

経営学がモチベーションに気づくずっと以前から、軍隊はこの問題に関心をもっていました。しかし多くの将軍にとって、士気を高める対策をたてることは、軍事技術を研究するのと同じくらい、いやそれ以上に難しいことのようでした。

第二次世界大戦において、勇猛果敢でならしたパットン将軍も、ずいぶん熱心に研究していたようです。

パットン将軍は、「どのように兵に接すれば、兵は認められたと受けとめるか」ということに強い関心を払っていました。

彼は、上級将校ができるだけ前線視察することを勧めています。その際には、「姿を見せる将校の階級が高いほど、また護衛兵の数が少ないほど、兵士に与える効果は高い。視察にある程度の危険が伴うなら、その価値はさらに上がる」としています。

また、兵士を鼓舞するために前線に出かける将校に対して、「後方へ戻る姿を絶対兵隊に見せるな」と、忠告しています。

「前線へ向かうときは兵隊に見えるようにジープに乗り、帰りは飛行機にしろ」というわけです。このほか「寒中でも、将官は兵士より暖衣を身に着けているという印象を与えぬように」と、細かい注意を与えています。

計算しつくされたところが嫌味に思えますが、それでもそういう配慮をしてくれる将軍のほうが、兵にとってはまだ有り難いのかもしれません。

余談ですが、第二次世界大戦で、戦争についての広報および広報官が、世界で初めてアメリカで採用されました。前線のアメリカ兵のまわりには、広告代理店やPR制作会社がつきまとい、英雄を故国に紹介しました。アメリカ兵たちは、新聞や映画によって、自分たちの功績が故郷に伝えられることにたいへん関心をもち、誇りを感じたようです。

広報が承認欲求を満たすために用いられるところなど、いかにもアメリカ的な話ですね。

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■コミュニケーションスキルの教科書『リーダー感覚』

解説はこちら

本稿は佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)の一部を抜粋引用しながら、加筆したものです。

 

 

 

リーダーのためのしかる技術の訓練法

前回は、教育ジャーナリストの山口照美氏の文を紹介しながら「リーダーのためのほめる技術の三点セット」を説明しましたが、今日は「リーダーのためのしかる技術をご紹介しましょう。

さて、しかる方はどうするか。山口氏はこう書いています。

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「『しかる』は感情的に行うのではなく洞察力が必要です。テストの『結果をしかる』のは最悪のパターンです。成績に不安を抱いているのは、誰よりも受験生です」

口べたな子には「勉強時間が足りなかったのか、ケアレスミスなのか、理解不足かの3択で尋ねます。その答えから解決策を一緒に考えます」

また、「『怠けている』ことをしかりたい場合も、最初に理由を質問しましょう。体調不良や友人関係のもつれで、勉強に集中できないケースがあります」

「子供が嘘をついても、かまいません。嘘をつきながら親に対し罪悪感を覚えます。その中で、自主的にがんばる気持ちが芽生えてくるのです」

いちいちごもっともなことです。大人でもまったく同じです。

失敗した人はめげていますので、ヘタにしかるのは自信をさらに失わせるだけに終ります。これについては『リーダー感覚』でも触れていますね。

それと、自尊心を傷付けるような言い方はダメ。これも常識。特に相手の能力を否定するようなしかり方は逆効果。相手の性格をバカにするようなこともダメ。

「なんで、こんなことができないんだ」

「どうせお前には無理だな」

「お前のような意気地無しではダメだ」

感情的になると、ついこういう言葉を吐きたくなります。リーダーは人間修養ができていないとダメ。あまりリーダーになるもんじゃない?

好きでリーダーになったわけではない人もいるでしょうから、そういう人はがんばってくださいね。

こういう問題は日頃からトレーニングをして、反射的にそういう行動ができるようにすることでしょう。問題があったら、すぐ原因を質問するような癖をつければいいのです。

それには習慣づけする訓練が必要です。これが「身にしみる」ということにつながります。

つまり、自転車に乗るのでも、最初はぐらぐらして危ないわけですが、慣れてくれば意識することなくすいすい乗れますね。そういったトレーニングをすることが効果的だと私は思っています。

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■コミュニケーションスキルの教科書『リーダー感覚』

leaderkankaku3解説はこちら

リーダーのためのほめる技術の三点セット

2010年3月2日の日経新聞広告面に、「新・教育考」という面があって、そのなかで、教育ジャーナリストの山口照美氏が「『ほめの瞬発力、しかりの洞察力』が『ほめる・しかる』の基本」というテーマで寄稿されていました。

これがなかなか参考になる意見なのです。

広告の対象が受験ビジネスですので、山口さんの訴えかける対象は主に受験生だと思うのですが、社会人にもあてまはりそうです。

以下、引用します。

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「ほめるときは『ここ一番でほめよう』などと考えすぎないことです。成長を発見し、瞬発力を発揮してすぐにほめる」

瞬発力という意味は、要するに、あまりあれこれ考えずに、さっと言葉が出てくること、ということのようです。L研リーダースクールでは、身につくようになることであり、反射神経的に言葉になるようにすることが大事だと、解説しています。

そして、山口氏は「『事実+感情+質問』の『3点セットほめ』はおすすめ」と言っています。たとえば、英語でよい成績だったら、こんな感じでほめるのだそうです。

  1. 「英語の成績が伸びたね!(事実)
  2. がんばっているのを見ていたから、嬉しいよ(感情)
  3. 勉強方法、何か工夫したの?(質問)

私の『リーダー感覚』と共通点が多いことを、この本を読んだことのある方ならお気づきだと思います。

「リーダー感覚」のなかで取り上げた技術分類では、

1は直接法のほめる技術、2は間接法のほめる技術、3は特に目上の人に対して有効な質問を通して間接的にほめる技術、ということになります。

社会人でもまったく同じように活用できますので、ぜひためしてみてください。

 

拙著『リーダー感覚――人を指導する喜び』より引用

リーダー感覚の画解説はこちら

 

やさしい言葉をリーダーは勉強しよう

チェーホフの言葉。

「優しい言葉で相手を征服できぬような人は、いかつい言葉でも征服できない」

どこかのリーダーさん、いかつい言葉の連発ですね。大丈夫ですか?

優しい言葉の練習をしましょう。

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優しい言葉の代表は「褒め言葉」でしょう。

私がなぜリーダー感覚養成のためにほめる訓練を選んだかですが、この方法が優れているのは、自然に人を観察するようになるからです。

その人のよいところを見つけようと、虎視眈々と狙っていくわけですから、いやでも相手のことに関心を払わないわけにはいかなくなりますね。

また、ほめるときは、相手にとって最適な言葉を選ぶ必要がありますが、それには相手の心がある程度わからないといけません。ですから、相手の気持ちを察する訓練にもなるわけです。

それから、もしほめ言葉がピッタリであれば、ほめられた人は喜んでくれるでしょう。そうなると、こちらとしてもたいへん嬉しいし、愉快になりますね。つまり、相手が喜ぶことで、自分も喜びを感じることができるわけです。これが共感です。

ほめる訓練は、人間関係の機微がよくわかると同時に、人を指導する喜びも味わえます。この喜びの感覚こそ、リーダーが知らなければならないリーダー感覚なのです。

拙著『リーダー感覚――人を指導する喜び』より引用

リーダー感覚の画

コミュニケーションにおける暗示効果

暗示というのは、相手にこちらが意図する空想を生じさせる技術なのです。そういう空想がわくと、それに伴う行動が出てくるからです。

つまり、こちらが期待している行動を、相手に空想を通してとらすことなのです。

今回の3党合意の場面では、自民党がその手を使いました。

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以下は民自党首会談:「密室の30分」自民が演出- 毎日jp(毎日新聞)の引用です。

「野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁が8日夜、『近いうち』の衆院解散・総選挙の実施で合意した党首会談で、2人だけで約30分間会談したのは、自民党が仕掛け公明党が協力したものだったことが9日、関係者の話で分かった。

首相と谷垣氏の会談は国会内で約40分間行われ冒頭は民主党の樽床伸二幹事長代行と自民党の石原伸晃幹事長が同席。石原氏は開始から約8分たったところで『樽床さん、出ましょう』と声を掛け、『えっ』と戸惑う樽床氏を連れ出し、『密室の30分』を作り出した。

谷垣氏は党首会談を受ける際、2人だけの会談を希望したが、早期解散に否定的な民主党執行部から『お目付け役』の樽床氏が同席することになったため、石原氏が谷垣氏と示し合わせた。公明党の山口那津男代表も2人の会談後に加わることにして協力した。

首相と谷垣氏が解散時期を巡り『密約』を交わしたか否かは不明だが、自民党幹部は『2人きりにすれば、発言は表に出ず、何か確約したのではないかと疑いを呼べる』と狙いを語った」

2人だけの時間をつくることで、まわりの人間にあらぬ空想を生じせしめた、狡猾な作戦といえます。

もっとも、この記事からは、2人だけの対談は自民が仕掛けたものであり、野田首相が積極的に解散を明示する意図はなかったとも読めます。

裏でこの記事を書かせたのが民主側であったとすれば、「空白の時間は、実はたいした意味はなかった」ということを暗示したかったとも考えられます。

ですから、新聞の解説はその記事が書かれた背景を推測しないと危なくてしかたありません。あまり、新聞解説をまともに信用しないことです。