ある新任のリーダーは、新しい部署に来て、部下とのコミュニケーションがうまくとれず悩んでいました。
呑みに誘ったり、個人面談をしたり、いろいろやるのですが、部下は乗ってこないのだそうです。
あるコンサルタントはこのリーダーにこんな助言をしました。
「あなたには、部下の成長を願う気持ちがありますか。
部下のためを思って指導をしていますか。
リーダーでいちばん大切なのは、部下を思う気持ちです」
このコンサルタントの言葉を聞いて、どんな反応だったでしょう。
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リーダーの困惑する顔が浮かぶような気がします。
このリーダーだって、部下のことを考えるからコミュニケーションがとれていないことを悩んでいるわけです。
たしかに十分とはいえないかもしれませんが、部下の成長を願わないわけではない。
そういうリーダーにこの助言はほとんど役に立ちませんね。
精神論だけを言うコンサルタントには気をつけなければなりません。
こういうのはまったく意味をなさないからです。
リーダーがほしいのは方法論、行動論であり、精神論では何も解決されません。
私がコンサルタントなら、おそらく部内の雰囲気を明るくし、みんながもっと元気が出るようにすることをアドバイスします。
そして、具体的には、部下をほめること、部下のよいところを認めることを勧めます。
まずはそこから始めて、人間関係をよくすることでしょう。
L研リーダースクールの通信講座初等科1は、ほめるのが苦手な人にほめることを職場でやらせます。
こういうのも経験なのですが、成功体験が得られればこれは続きます。
こんな意見を言っている人がいます。
今までも相手の良いところを見つけるように心がけていましたが、実際にほめるという行動は起こせていませんでした。やはり、ほめてもらえるということは、誰にとっても嬉しいことであり、励みになることだと感じました。
ほめる事を意識する事ができました。現場側から考えても、上司がほめる事を意識している事はうれしい事だと思います。
今回のこの研修で褒めることを意識することができたので大変良かったと思います。漠然と褒めると言われただけでは、わかりにくかったのですが、色々なパターンで考えることができたので、これからの業務でどんどん使っていきたいです。
みなさんも、まずやってみることです。ほめるなんて小さなことですが、小さなこと、簡単なことから始めて、だんだん複雑なマネジメントを覚えていけばよいと思いますよ。
みなさんは「百聞は一見にしかず」という故事を聞いたことがあるでしょう。
でも、本当はまだ続きがあるのです。
百見は一考にしかず(いくらたくさん見ても、考えなければ前に進まない)
百考は一行にしかず(どんなに考えても「行動」を起こさなければ前には進まない)
百行は一果にしかず(どんなに行動をしても、成果を残さなければ意味がない)