めげている人を励ます方法

私の事務所に「仕事がうまくいかない」と相談にきた女性がおりました。営業企画の責任者だったのですが、営業本隊の方がなかなか意見を聞いてくれないらしくて、自信がなくなったという。

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話を聞くときにはセオリーがあります。最初は、相手がどんなへんなことを言ったとしても反論しないで、黙って聞いてあげること。

そして、相手の言っていること、相手の態度を評価してあげること。

これで、相手がこちらの言うことに耳を貸すようになります。

このラポール関係ができてから、こちらが働きかけることができるようになります。

さて、私は、相手の「ダメだ」という潜在的心理を壊そうとしました。これは暗示のテクニックなのですが、相手が考えていることについての反論をひとつだけ用意するのです。

「君はちっとも言うことを聞いてもらえないと言っていたが、成功した例はないのかい?」

すると、彼女はこう答えました。

「北海道の営業支点からお呼びがかかったことがあります」

それを聞いて私はすかさず言いました。

「それはすごい。東京なら義理で使ってくれることはあるだろう。しかし、はるばる地方からお呼びがかかるということは、よほど頼りにされている証拠だ」

すると、彼女はそんなものかという顔をしましたが、だんだん明るい顔になりました。

これが実は暗示なのです。相手が抱いているイメージの一角を壊すのです。それには、相手が言っていることに対して違う事実を一つだけ提示すればいいのです。

(詳しい心理メカニズムについては、拙著『リーダー感覚』をお読みください)

この場合、北海道の話が本当によい案だったかどうかは、外部の私にはわかりません。それに、この例だけが成功例だったのかもしれません。

しかし、暗示にはそれはどうでもよいことなのです。要は相手が元気になればよい。そうすれば、自分でいろいろ工夫する気力を取り戻すでしょう。

彼女は私のオフィスを去るころには、すごく明るい顔になっていました。

 

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

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