コミュニケーションの手順

朝三暮四(ちょうさんぼし)。これは列子(れっし)と荘子(そうじ)に載っている話です。

狙公(そこう)という大の猿好きがいて、猿をいっぱい飼っている人がいた。ちなみに狙というのは猿の意味です。

ところが数が多すぎて、しまいには家族の食糧まで猿にまわす始末。ついに、猿の飼料を制限せざるをえなくなった。

しかし、猿たちの機嫌を損ねてはいけないと考えた狙公は猿に相談します。

「おまえたちにやるドングリを、これから朝に三つ、夕方には四つにしたいのだがどうだろう」

すると、猿たちは歯をむき出しにして怒りだしました。

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朝三つばかりでは腹がすいてたまらないという猿の気持ちはよくわかる。狙公は智恵を働かせてこう言いました。

「それでは朝四つ、夕方は三つとしよう。これでどうだろう」

猿たちはみな喜んでうなずきました。

これについて、列子には「実質は同じであるのに、猿は朝三を怒り、朝四を喜んだ。知者が愚者をごまかしたり、聖人(国王のことでしょう)が人々をろうらくするのも、狙公が智恵を働かせて猿たちをたぶらかしたのと同じだ」とあります。

これをコミュニケーションスキルになぞらえると、説明の手順が大事だということになります。

もっとも、この話は荘子によると「高所から見れば実は同じことなのに、それを知らずに是非善悪にとらわれる者が、いたずらに心を労して偏見を生じるのだ」とあります。同じ話でも、随分受け止め方が違うものです。

原発を稼働しないと原子力の施設が負債となって、電力コストが上がり電力会社の経営がたいへんになるなどと電力会社は言っていますが、国全体で見れば、いずれにしろ費用は発生するわけで、税金でそれをまかなうか、電力料金としてまかなうかの違いだけです。

同じ費用がかかるなら、よりよい電力供給システムができるような仕組みをつくれる経費負担のあり方を考えるべきでしょう。