コミュニケーション力とチーム運営

チームを運営しゴールを設定する立場にあるリーダーは、組織の特性をよく知っておくとよいでしょう。

組織には組織の構成要素が必ずあります。私はこれをビー玉の詰まったビニール袋と表現します。

ここでちょっとクイズを出しますので考えてください。

今、あなたの眼の前に透明なビニール袋があって、中にビー玉が半分くらい詰まっているとします。その中にたったひとつだけ黄金のビー玉があります。

でも、それは袋の中にあってよく見えません。あなたはそれをもっとよく見える位置に移動させたいと思っていますが、どうしたらよいでしょう。

いちばん簡単なのは、ビニール袋を思いっきり揺さぶることですが、それは少々あなたには重すぎてできません。ですから、これは答えから除外します。

あなたは、いろいろ考えた末、堪忍袋の緒を切り、袋に手を突っ込んで金の玉をつかもうとするかもしれません。

でも、これは駄目です。禁じ手です。あなたの手はビー玉の中に埋もれてしまうだけです。おまけにビニール袋がグニャッと変形して、もう何が何だかわからなくなる。

そうしているうちに、知恵者が現れて、こう言いました。

「ビリヤードの要領でやってごらん」

なるほどと思ったあなたは、手近なビー玉を選んでそれを拾い上げました。すると、隙間ができたので、隣のビー玉がそこに動いてきました。

全体から見るとわずかな変動です。しかし、同じことを何個か繰り返していくと、たしかにビニール袋の形状は少し変化しています。

当然、黄金のビー玉も少し位置を移動しています。質問は拙著『伝動戦略』より

■システムの特性
このクイズでは、ビニール袋は全体システムであり、ビー玉はその構成要素(サブシステム)というわけです。

また、黄金のビー玉は、さしずめ問題の争点といえるでしょう。

ビー玉をひとつ動かしただけで、他のビー玉の位置は変わります。信じがたいかもしれませんが、これがあらゆるシステムに共通する動作特性なのです。

その特性のおかげで、直接黄金のビー玉に力を用いなくても、それに影響を与えることができるのです。では、なぜこのような作用が生じるのでしょうか。

それは、ビー玉たち(サブシステムたち)がそれぞれ相互に作用しあっているからです。この相互作用を把握することこそ、私の組織行動学でもっとも重要なことです。

つまり、全体システムの行動特性は、実際にはサブシステム間の相互作用によって決まるというのが私の考えです。これがいちばんだいじなところであり、私が主張したいところなのです。(つづく)