コミュニケーション能力を強化するには

ふつうの人が考えそうなことは、コミュニケーション能力を分解して、さらに細かな能力に落とし込むことでしょう。

たとえば、会話力、プレゼン力、ロジカルシンキング力、分析力、洞察力、などなど。

私は面倒なのであまり考えませんが、もっと気の利いたことを、研修会社の人は言うでしょうね。

しかし、こうやって分類していくと、どうもどんどん違う方向に行ってしまうように思えてなりません。

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この調子でやっていくと、こんな感じでしょうか。

「自分はプレゼン力がないな、よしこれをつけよう」

「自分はロジカルシンキングが強い。これを伸ばしていこう」

というような感じです。

こういうやり方は、自分の能力を枠にはめて考えてしまうような気がしてならない。能力とはもっと柔軟に考えるべきものではないでしょうか。

それならどうすべきか。

私はむしろ「どういうタイプの仕事ならうまくできる」かを悟るほうが現実的だと思うわけです。

ひとつの方法として、一年を振り返って、どういう仕事がよくできたかを調べること。

思いがけない成功には、特に目を配る。というのも、そこには“新しい芽”、つまり「まだ自分が知らない才能」が隠れている可能性があるからです。

経営学者のドラッカーの場合は、書くことが非常に好きだったと言っていました。それと、人と共同して作業するのがダメだったそうです。一人で仕事をするのが楽しい。それでジャーナリストとして独立したんだそうです。

一人でやる方がいいか、組織でやる方がいいかというのは、大事なところだと思いますよ。こういうことこそ、わからないといかんでしょう。

もしドラッカーが上で述べたような方法で自己能力を分析したら、たまたま「協調力」「文章力」などといった“項目”がリストしてあれば、自分の才能を発見できたかも知れませんが、もしその項目がなかったら、自分を発見できなかったでしょう。

だいたい、すべての能力をもれなく網羅するテストなどできるわけありませんからね。

ですから、そういった枠に無理にあてはめるのではなく、何がうまくで何が下手だったかをよく分析することから、その意味を考える方がよいように思いますね。

コミュニケーション能力でも同じです。

どういう点がうまくて、どういう点が苦手なのか。

人と話すのは苦手でも、あるタイプの人にはとてもウマが合うという場合があります。

車の営業マンには「マダムキラー」と呼ばれて、マダムにはめっぽう売れる人がいます。また、「老人キラー」というのもありますよ。

ところが、マダムキラーは、まず老人キラーにはなれません。何か相性とか、過去の体験とか、いろいろな要因があるのでしょう。お婆さん子だった人は、老人と話しやすいとかですね。

そういう人は、そういうタイプのお客さんをどんどん追っかければいい。

マダムキラーの人が、自分はコミュニケーションにおける交渉力があるとか、即決力があるなどと分析したって、何の得になるでしょう。こんなことしたってお客は獲得できないわけです。

しいていうなら「対老人力」とか「対マダム力」があるとでもしましょうか。これは冗談ですがね。そんな抽象的な言葉はさっさと忘れて、マダムが得意だと分かったら、マダムを見つけて、マダムに会うことを考えて行動すればいいわけでしょ。

それが現実的な適性分析ではないでしょうか。

ひとつ、こういうことをヒントにして、ご自分のコミュニケーション能力をお考えになってみてください。