ドラッカーのコミュニケーション論

ドラッカーによると、意思の疎通が効果的に行われるためには、「情報」と「意味」の二つが必要なのだそうです。――『新しい現実』(ダイヤモンド社、376頁)より

さらに言うと、意味が存在するためには、「通じ合い」がなければならないと、ドラッカーさんは言っています。

その通じ合いには、「解釈の能力が必要である」とも言っています。

ドラッカーさんは、「解釈の能力」とは、こういうことなんだと言っています。

「『東京の連中の考え方を知っているから、このメッセージの意味がわかる』、あるいは『ロンドンの連中の』とか『北京の連中』と言い換えなければならない」

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「『連中の考え方を知っている』ことが、『情報』を『意思の疎通』に転換する触媒になる」とこうドラッカーさんは言うわけです。

要するに相手のことがわからんと、つまり人間がわからんと意思疎通できないということ。私がいつも言っていることと、たいして違いません。

たとえばですね、「公」の世界に住んでいる人、つまり役人の「考え方」について触れてみましょう。

この人たちは「誰からも愛されたい」という願望が特に強いのです。あるいは、世間から非難されることが大嫌いだ、と言ってもいいでしょう。

だから、マスコミに悪い記事が出るとすごくナーバスになります。いつも世間の評判を気にしているのです。

それから、役人は責任をとるのを嫌がりますよね。たとえ前任者のミスでもそうですよね。公共事業の失敗なんかでも、役人は責任取りませんから。それが彼らの処世術と大いにかかわっているのでしょう。

それはそれでもいいのですが、ただそういう考え方が基本的に合わない分野があります。それは研究開発の部分です。

これは失敗の確率がかなり高い。数字はわかりませんが、千三つ(千に三つの成功)くらい低いはずです。

ところが、役所はそれだと困るわけです。税金の無駄使いだと言われるのが怖くてしかたない。そこで、研究開発で、失敗しにくいテーマを選ぶ。

つまり、二番煎じ、三番煎じとか、ちょっとした改良ですね。あるいは、うまく成功しなくても、なんとか格好つけられるもの、なにかバイプロダクトができて格好だけつけられるもの、ですね。

ということですから、役所が研究開発に参加してあまりうまくいかないだろうなと思います。画期的なものがうまれにくいということです。

もうひとつ役人の特性は、自分の領域以外に関心をもたないこと。自分のところさえよければ、あとは知らない、口をさしはさまない。そのため、部分最適化はできても、全体最適化ができない。

消費税増税の財務省の態度などはまさにこれです。

原発再稼働に対する経産省や財務省の態度もこれです。自分の省にどれだけメリットがあるかということで、行動が決まってしまう。