人を受容できるキャパシティーを広げる

人間行動学というのは、私が勝手につくったものですが、要するに人間を観る力をつけるためのいろいろな方策をさします。

その一手段として、歴史上の人物分析があるわけです。乃木希典、源義経、織田信長をとりあげ、その異常行動を中心に人間分析をしてみました。

異常行動というのは、その人らしくない行動という意味です。

その人にとっての通常行動は、感受性のセオリーからある程度導き出すことができます。これについては『行動分析の手引』という資料があります。

ところが、人というのは時々、その感受性のパターンから外れたように見える行動をとるわけです。

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乃木希典などは特にそうですね。それで、乃木将軍の研究者松下芳男さんあたりは、『乃木希典』(人物叢書新装版)で「不思議だ、不思議だ」と首をひねっているわけです。

そういうのを見つけると、私は俄然はりきってしまう。結局、全然異常行動ではないんです。異常に見えるのは、乃木将軍の感受性を正確に把握していないからだと、私は思っています。

乃木将軍の軍事行動にも、ときどきへんなのがあって、超有名な研究者である大江志乃夫先生あたりは「とんでもない将軍だ」と言っております。

「とんでもない将軍だ」というのは私も同感ですが、「とんでもない」行動は大江先生が言っている理由で起きているわけではありませんね。

しかし、それが起きている理由を説明できると、司令官としては無能な人だったとますます思ってしまいますけれどもね。

義経については、判官びいきのイメージがあって、得をしていますね。実体を観ると、とてもそんな人ではありません。戦闘の鬼ですね。

鬼だから、鵯越の逆落としのような乱暴なことができた。ところで、この逆落としが実際にどこで起きたのかは、諸説あるのです。

そこで、私は義経の性格から考えて、その場所を特定しました。もっとも、いまでは証明などできませんけれど。

信長はいちばんわかりにくい人物ですね。

信長の革新性は誰もが認めるところでしょうが、あの虐殺のひどさを知ると、みんな信長のことを嫌いになってしまいます。私も、正直ついていけませんね。

戦国時代ですから、現在の平和ぼけしている我々の感覚ではなかなか捉えにくいことは確かです。しかも、信長という人物は、その戦国時代でも特に過激な人物でしたから。

それにしても、どうしてあんなことができたのか。ほかの戦国武将はそこまでひどいことはしておりません。おそらく、9種的な特徴があったのではないかと考えます。ヒトラーと似たところです。

それからすぐキレるところ。これは5種的。

5種は、ヒステリー症状になることがありがちなのです。もちろん、すべての5種というわけではありませんが。

5種は余剰エネルギーが鳩尾でつかえ、ここがカチカチになって、非常にヒステリックになるときがあるのです。

天下布武というようなたいそれた望みを持つと、たいへんだったのは分かります。いつもイライラしてたんでしょうね。

それと、5種というのは自分から体を動かしたがるタイプなのです。戦争でも先頭に立って戦うタイプなんです。

ところが、晩年になると、信長はヘッドコーターに詰めて、部下に指示することになります。中国は秀吉に任せ、北国は柴田勝家に任すというようにですね。

こういうことになると、自分のエネルギーをもてあましてしまう。

ふつうの人でも、有能だった社長が引退して隠居のような生活になると、エネルギーがあまって、家族に八つ当たりをしたりすることがよくあります。暇なのはよくありません。60過ぎで定年になっても、何かやったほうがいいですよ。

また、そういう人は退屈しのぎかどうかしりませんが、自分の体をこわすようなことまでするときがある。無意識に病気になるんですよ。これがいちばん恐いですね。慢性病には、そういう潜在意識的なものがあるそうです。

信長なんかは、このヒステリー症状だったのではないか、と私は考えました。

こういうことがいろいろわかってくると、対人関係であまりストレスを感じなくなるものです。

「ああ。この人はこういう人なんだ」と思えるようになります。それだけ、キャパシティーが大きくなるのです。

人づきあいが楽になりますね。人付き合いで苦労している人は一度お読みください。

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