信頼関係があれば叱れる

叱る効果があるかどうかを見極めるには、それまでの人間関係を考慮しなければなりません。

ポンポン言っても傷つかない間柄なら「おまえはアホだなぁ。ここがダメだ。こんなことじゃあ、ろくなもんにはならんぞ」と言っても大丈夫です。かえって親近感がわくでしょう。

要するに、口から出る言葉ではないのです。

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大事なのは腹の言葉です。自分の信念がわかってもらえる間柄なら、乱暴な言葉でも大丈夫。かえっていいくらいです。しかし、そうでないときは、このような言い方は危険です。そういうことを、リーダーはよくわきまえていないといけないでしょう。

本田宗一郎さんは、部下を殴ったり、ハンマーを握りながら部下を追いかけたりと、ずいぶん手荒なことをしたそうです。本田さんは、激情的な人だったのでしょう。多分、そういうことをせずにはいられない、切羽詰まった事情があったのだとは思います。

それでも、本田さんの部下はついてきました。それは、お互いに信頼関係があったからだと思います。本田さんのような上司なら、部下をぼろくそに怒鳴ったとしても、部下はついてきます。ところが、本田さんを真似して、同じように部下を叱ったところ、総すかんを食らったという人がホンダにはいたようです。

表面的な格好ばかり真似しても、リーダーの気持ちを伝えるのは無理です。ところが、それが、なかなかわからない人が多い。わからないのは、リーダーシップについて、というよりも、人間について基本的にわかっていないからでしょう。

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■リーダー感覚に関する参考書籍

本稿は佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)の一部を抜粋引用しながら、加筆したものです。

本書は、リーダーシップを実践的につける訓練法を紹介しています。極めて泥臭い現実的な方法論です。特に初任リーダーはまずここからお入りください。

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