叱るのは、怒りがごっちゃになるので難しい

叱るというのは指導のひとつだと思うのですが、現実には怒りとごっちゃになっていることが多い。

それに、叱ることは欠点の指摘と一体になるケースが多いのですが、それは相手にはなかなか痛いものです。

分かっていればこそ、余計痛い。ところが、そこを撞いてしまうものだから、相手は意気消沈するか猛反発する。ですから、叱らないほうが私は無難だと思っています。

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それから、欠点を矯正させるにも言い方がある。「そこを直すともっとよくなるよ」という言い方を覚えたほうがいい。

このあたりは、私の『リーダー感覚――人を指導する喜び』に詳しく書いてありますから、興味のある方はお読みください。

日本IBM最高顧問の北城恪太郎氏がかつて「私の課長時代」というコラムを書いておられまして、そのなかに怒ることについて触れておられました。

北城さんは「とにかく怒らないことを心がけました」と言っています。英語では「Don’t shoot the messenger」というんだそうですよ。

〝情報をもたらす人間を撃つな〟ということだそうです。

「怒ると分かっていたら社員は悪い話を上げません」

そうなんですがねえ。なかなかそれができる人はいません。それで、裸の王様になってしまうのです。そういう例は私もよく見ました。ふだんは割合冷静な人が、話を聞いて不快そうな顔になるならまだしも、怒り出すんですから驚きますよ。

私はそういう人間をいちばん軽蔑してしまう。私自身がそうできているかどうかは別ですが……。できないから、そう思うのかもしれませんが。

私がそういう立場にあるときは、黙っているしかありません。口を開いたら、とんでもないことを言いそうになるので。しかし、それも難しい場合がある。「沈黙は最大の侮辱」と思っている人がいますからねえ。