気づきの感覚を高めるためには

リーダーとして大事なのは、「おや!」と思う感覚ではないでしょうか。言い替えれば「気づく」能力とでもいいましょうか。

たとえば、営業であれば、予想外に儲かっている事業を見て気づくということでしょう。

コミュニケーションであれば、相手と話をしていて、「なんかいつもと違う感じだな」とか「いつもと違う顔つきだな」といった類のことです。

銀行員なら、お札を触っていて、「おや、これは偽札か?」と感じることです。

これらの場合は、いずれも「正常」とか「通常」というベースのものがあって、そこからの乖離が問題になるわけです。

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人間行動でも、「このリーダー、ぶれてるな」とか言われることがありますね。これも気づきです。いつもと違う行動をリーダーがとると、そう思われるわけです。

拙著『リーダーの人間行動学』では、異常行動というかたちで人間行動を分析しています。

もちろん、これは精神がおかしくなったという意味ではありません。いつものその人とは思えない行動のことです。「らしくない行動」のことです。そして、そのベースはその人の感受性です。

ところが、私が研究したところ、この「らしくない行動」というのも、実はその人らしい行動なのです。では、なぜ「らしくない」行動に見えるのか。

それは、いろいろな環境条件があって、そのために我々にはその人らしく見えないのです。

そこで感受性分析をしながら環境を分析していきますと、やっぱりその人らしい行動だったんだ、と理解できてきます。

そう思えると、人間の理解が一歩進むんですね。

そのあたりを、私なりに『リーダーの人間行動学』で歴史上の人物を通して考察していますので、よろしかったらお読みください。

たとえば「空海と最澄」のケース、これは内容は少々固いのですが、私としてはかなりの自信作です。

二人は宗教界の巨人で、宗教的な見解の相違で仲違いしたと、一般には思われています。

ところが、私が人間分析をすると、そんな理屈の上での問題と言うよりも、実は人間くさい意見の相違に思えてくるのです。

空海の行動はこのとき異常だったと、司馬遼太郞さんは言っていますが、感受性分析をして考えると、実は空海らしい行動だとわかってきます。