相手の行動基準がわかることがコミュニケーション能力向上には不可欠

コミュニケーション能力をつけるためには、二つの側面があります。

たいていの教育機関では、コミュニケーションスキルについて、あれこれ教えてくれます。

しかし、これは本当は片手落ちなのです。

考えても見てください。英語を勉強するとき何を勉強します?

speaking もさることながら、hearing をやりますよね。

相手の言っていることが理解できなければ、会話が成り立つはずがない。

相手の言っていることをみなわかっているという前提でコミュニケーション講座は行われます。

しかし、それは間違いです。

コミュニケーションで大事なのは、相手のニーズ、相手の行動基準をさっと理解し、それに沿って交渉なり説得をすることです。

子牛とて、押すのはたいへんです。でも、おしゃぶりを与えれば、向こうからついてくる。

リーダーの指導や説得もこれと同じです。

そこで、このことをよく説明してある本をご紹介します。

佐藤直曉『リーダーの人間行動学 人間を見る力を鍛える』(鳥影社) 1,575円。

本書は、一人ひとりの個性を的確に分析する方法を示しています。

本書のアプローチを用いれば、相手の個性に基づいた適切な指導や対人折衝が可能になります。

本書の基本的な考え方は「人間行動の背景には、その人独自の行動基準がある」ということです。

そこで大事なのが、「相手の立場に身を置き」、「相手の行動基準で考える」ことです。

ところが、多くの人は、相手の立ち場に身を置きながら、無意識に「自分の行動基準」で考えてしまいがちです。

第一部「人間行動学の基本を学ぶ」では、相手の行動基準で考えることがいかに大事かを、ケースを通じてご理解いただけるようにしています。

南極探険家スコットのケースでは、スコット隊の悲劇を招いたスコットの意思決定について読者に考えていただきます。

このケースでは、人間は「相手の行動基準で相手の行動を考える」ことがいかに不得手かがおわかりになると思います。

また、乃木希典のケースからは、一見すると理解に苦しむ行動、こちらからすればいかにも不合理に見える行動が、本人にとっては極めて当然の行動であることが理解できると思います。

第二部「行動基準のパターンを学ぶ」では、10種類の行動基準を説明し、そのなかのいくつかのパターンを選んで、歴史上の人物行動から解説しています。

この10種類の行動パターンは、単に性格的な面ばかりではなく、体つきや動作の特徴なども含む総合的なものです。

この理論は、野口晴哉の体癖論というものです。野口晴哉は現代の整体を創りあげた人として著名です。本書では、多くの人間観察と検証からつくりあげられた緻密な体癖理論の一端をご紹介いたします。

実践におきましては、その行動基準パターンを頭に入れることが非常に効果があります。

それを説明するために、大村益次郎、ショパンとジョルジュ・サンド、空海と最澄の3つのケースを取り上げ、行動分析を行っています。

また、最後の章では、私が実際に現場で用いた例をご紹介しています。

人はおうおうにして、自分の行動基準や価値観がベストだと考えがちです。

また、他人が自分とは異なる行動基準で行動することが理解できない場合もよくあります。それは、そもそもそういう行動基準が存在することを知らないから起きるのです。

本書をお読みいただいた方は、「相手の立場に身を置き」「相手の行動基準」で相手を評価することの効果に気づかれるでしょう。

また、そうすることによって、実践的な指導方法や対人折衝の方法が思い浮かぶでしょう。

リーダーが部下の指導にこれを用いれば、指導効果は格段にあがります。営業マンが折衝に用いれば、顧客好感度がアップするのは間違いありません。対人関係に悩んでいる人も、人づき合いが楽になるでしょう。

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