コミュニケーションを拒否しようとする行動はいろいろあります。
そういう行動をする人には、たいてい別の理由が隠されていると見た方がいいと思います。
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たとえば、こちらが言ったことに対して、猛然と激しく反論する人。
これには、相手の弱みが隠されています。
大きな声で相手の反撃を食い止めたいのです。
ちょうど、ダウンしたボクサーが立ち上がって、猛然と攻撃してくるようなものです。
自分の弱さを隠し、時間稼ぎしているとも言えます。
だいたいは、言われたことがこたえているんです。というか、自分もそうだと内心では認めている。
激しく反発するのとは逆に、ひたすら謝りつづけて、その先の話にのってこない人もいます。
下手に話をしはじめると面倒なことが起きる、と警戒しているのでしょう。
江戸幕府の大老・井伊直弼がそんなことをしていました。
日米修好条約を幕府独自に決めたとき、水戸の一橋慶喜(後の15代将軍)が抗議にやってきた。
そのとき、井伊はひたすら「おっしゃるとおり、恐れ多いことでございます」だけで通したそうです。
これなんかは、あきらかにコミュニケーション拒否。
弁舌の得意な慶喜の土俵に乗らない作戦でしょう。
相手の得意な土俵に乗らないのは、交渉においては重要なことです。
拙著『リーダーの人間行動額』で空海と最澄の有名なケンカを取り上げました。
宗教界や評論家はそれが宗派の優位性を示したいがための論争だと考えています。
しかし、私は別の理由が裏にあって、空海が論争を拒否した(最澄の土俵に乗らない策をうった)と考えています。
興味のある人は、拙著をお読みください。
■参考書籍『リーダーの人間行動学』