コミュニケーションの戦略:伝動戦略

以下は拙著『伝動戦略』より引用。

17世紀の後半、フランスのルイ14世のもとで活躍したカリエールという人物がいる。

この人が1716年に出版した『外交談判法』という本がある。

「物事に、そのいちばん容易な側面からとりつくことを心得ていることも、交渉の巧みなやり方というものである」と書いてある。

別の言い方をすれば、どんなものにも二つの取っ手がついていて、一つの方をつかめばたいへん運びやすい。だが、もう一つの方ははなはだ具合が悪い。

具合の良い方からつかめ。そうすれば楽に運べる――これが説得の技術でもあり、伝動戦略の神髄でもある。

昔、埼玉県の国道4号線沿いに大きなディスカウントストアがあった。

この店の外観はボロボロだった。店というよりは巨大なアバラ屋のようだった。

ところが、見かけによらず、この店は警戒が厳重で、窓という窓、戸という戸には鍵がしっかりかけてあった。

そんなに用心していた店にもかかわらず、あるとき泥棒が入ってしまった。

いったいどこから入ったと思う。

賊は壁をぶち壊して押し入ったのだ。

泥棒は窓ガラスよりも壁の方がもろいと見破ったのだ。

コミュニケーションと伝動戦略