コミュニケーションスキルとしての叱る技術

多くのリーダーは叱るのが苦手だと思っているようです。私はそれでいいと思っています。

叱るのは、叱るべき相手の選択や、叱るべきタイミングの選択など、考えなければならない問題が多々あって、コミュニケーションスキルとしては難しい技術といえます。

まず、部下がめげているようなときには、叱るのはよくありません。

よほど負けん気が強い人なら別ですが、ふつうはまずダメです。このことは何度も触れておりますから、よくおわかりだと思います。

得意になっている人に一喝やると伸びますが、失意の人にダメだと言えば、ただでさえ悲観しているのにますますマイナスになってしまうものなのです。(『リーダー感覚』第6章 リーダー感覚の高等訓練 ◆叱るだけのリーダーは使えない)

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たいていの場合、リーダーが叱るのは、自分の感情を抑えきれないからです。これは叱るのではなく怒ることです。

なぜリーダーが感情を抑えられないかというと、理由は様々です。

そもそもすぐ感情的になるタイプがおります。3種のような人はそうでしょう。捻れ型もそういう人が多いかもしれません。でも、このタイプは言葉よりも先に手が出るかもしれません。ゲンコツです。

(部下の立場からすれば、上司がどんなタイプかわかっていれば、効果的な対策がとりえます。ですから、部下にとっても感受性の研究は効果があります。詳しくは拙著『リーダーの人間行動学』をお読みください)

最近では、昔の上司に比べて臆病なほど自制している人が多いようです。その自制がきかなくなるのは、いろいろな事情があるからです。自分自身が上司からせっつかれているとかですね。しかし、最悪なのは部下と競争することです。

自信のないリーダーは、自分の有能さを誇示したい、自分を認めてもらいたいと思い、そのあげく部下と競争します。これはリーダーとしてはいちばんしてはいけないことです。

実力のないリーダーほど、部下を支配しようとして怒鳴り散らすものです。なかには部下をおだてて動かそうとするリーダーもいますが、このタイプも相手を操作しようとしている点では変わりありません。(『リーダー感覚』第7章 リーダーの条件 ◆部下と競争しない)