コミュニケーションスキルとしての欠点を指摘する技術

私がミュニケーション・スキルのなかで、特に重視しているのが「ほめる訓練」です。やってみないとなかなか実感がわかないと思いますが、これは想像以上に効果絶大です。

ただ、どんな技術にも限界はありますし、何事にも例外はあります。

欠点を指摘することも相手によりけりです。ふつうは欠点を指摘するのはあまり勧められませんが、人によってはそれがよいことがあるのです。

技術に非常に自信をもっているにもかかわらず、それ以外のことにはまったく関心がないという、いわゆる技術バカをよく見かけます。

こういう人に、「君の技術はすごい」とほめてもあまり反応しません。

なにしろ本人は当然と思っているわけですから、「当たり前のことを言うな」と思うだけです。

ではこの人に、「君の技術はすごいが、この点がダメだ。そこは改善すべきだ」とけなしたらどうなるでしょうか。

もちろん、それが当たっていることが前提ですが、おそらく彼は非常に興味を示すに違いありません。そして、このような提言をする人物に、一目置くようになるでしょう。

なぜそうなるのかというと、相手の観念をよく理解して、彼の望みが達せられるような情報を提供したからです。

注:観念とは相手が自然に浮かべる(無意識に思い浮かべる)イメージのこと。この場合は、「自分の技術はすごい。そして、もっと進歩したい」という無意識に抱くイメージです。

技術者の技術に対する思い入れが深ければ深いほど、欠点をあえて指摘する手段はよくききます。彼は示された欠点をなんとしても克服しようと、即座に行動を開始するでしょう。

実は、これは非常に巧妙な暗示なのです。

言葉のうえでは、「これが君の欠点だ」と言っているだけなのですが、知らないうちに「この山(欠点)を越えさえすれば、向こうに幸せが待っている」と、相手の心に期待と希望が想起されるからです。

これが基本型2の欠点をあえて示す暗示です。ただし、これを使うさいには、ひとつ注意点があります。
参考『リーダーの暗示学』

余談ですが、各分野で一流の人は、たいがいそういう自己イメージをもっているものです。

一流の人間ほど謙虚です。それは、彼らがまだ頂上に達していないことを知っていて、それを目指しているからです。そして、その頂上に達しても、さらにその上により高い頂上があることを知っているからです。