コミュニケーション・スキルにおける認め方の技術

今日は、コミュニケーションスキルにおける認め方の技術についてご紹介しましょう。

数年前、社会人を対象とした講義を大学で行ったことがあります。ここはeラーニングの大学なので、私の講義は夜7時から8時半くらいまで。

テレビに向かってしゃべるような授業方式は、勝手が違ってどうもうまくとけこめませんでした。やはり、教えるときはface to face の方が楽ですね。もっとも、こっちもたいへんですが、聴く方も何かと苦労があるのかもしれません。

口の悪い先生は、「ブラウン管の向こうでは、茶の間でビール飲みながら聴いているんだろう」なとど言っていましたけれどね。

この講義で、私は学生さんにほめる訓練を課題として出しました。職場とか家庭で誰かほめてみなさい、ということなんです。そして、分析レポートを出してもらうことにしました。それを読んで私がコメントを返すことにしたのです。

たまたま、講義中にそのことを思いついてやってみたのですが、やってみたらすごく評判がいい。おかげで、何年か声がかかりました。これが、いまのL研リーダースクールの研修のヒントになったわけです。

この講義で、最も印象深かったのが、ほめる人を見つけられなくて困った人。で、その人、どうしたかというと、苦し紛れに「犬」をほめました。

これには、さすがの私もまいりました。何とコメントをつけたらいいか途方にくれてしまいました。

で、結局こう書いた。

「たいしたものです。苦しい状況の中で、なんとか手段をみつけるあなたの独創性はすばらしい」

そして、そのあとに付け加えました。

「このつぎは、その独創性を人間に適用してね」

次の年から、課題を説明するさいには「相手は人間にするように」と、一言付け加えるようにしました。思いもかけないことがあるから、人生おもしろいということも言えますね。

ところで、相手の気づいていないところに焦点をあててほめる方法をL研リーダースクールのセミナーでは認め方の技術と呼んでいます。

よく「人は認められる方向に伸びる」と言われます。

ほめることで、相手のエネルギーはわきあがり、さらに相手の意識はほめられたその一点に集中します。つまり、相手の意識を自然にそこに集中させる効果があるわけです。

「おれには、そんな能力があるのか」と相手が思うことで、相手の観念(潜在意識)が働きはじめるともいえます。ですから、認める技術とは、一種の潜在意識教育ともいえます。

犬をほめた人は、はたして自分を独創性ある人間だと思うようになってくれたでしょうか。