リーダーは、人に仕事をしてもらってなんぼの職業。つまり、自分一人では仕事にならないし、役に立たない。このあたりをしっかり頭に入れていない人が結構います。
そういう人は、チームの士気高揚や、部下のやる気を高めたり、活性化したり、育成する方法がわからない。
また、リーダーになる前の業績がよくてリーダーになった人で、リーダーの役割がわかっていない人は、部下より自分の能力が上だということを示そうとします(営業リーダーなら、営業成績で部下と競争する)。
結局、マネジャーとしてその立場にいる根拠を、「メンバーと同じことをやったら、自分のほうが上手くできる」ことだと考えているわけです。
部下と競争するのは最悪です。もっとひどい人は、自分の優位性を示そうと、部下を批判しだします。
だいたいリーダーが部下と競争するようになったら終りです。なぜならば、リーダーの役割は部下とはまったく違うものだからです。
部下のやる気を高めたり育てたりするのが役割なのに、競争したり批判したりするのではしょうがない。
でも、結構いますね、こういう人が。
リーダーとは何をする人かわかっている人をリーダーに選ばないからこういう結果になります。
よく言いますね。「人間は上に行くほど無能になる」と。
下の職位でよい結果を残した人は、下の職位では非常にすばらしい能力をもっているわけです。
ただ、その人が上位の仕事に就いたとき、はたしてそれに対する才能をもっているかどうかは別問題です。
トップはそれを見抜かなければならない。
しかし、そういうのがない人でも、教育すればそういう問題はかなり軽減されます。
特に初めてリーダーになった人には、リーダーシップのなかで、「人を動かす」訓練をするとよいと私は思います。
これはコミュニケーション・スキルの訓練でもあります。
人を動かす訓練で、いちばんよいのは人をほめる訓練だと私は思っています。
人は褒められるのが好きだから反応がすぐえられます。
訓練は反応や即効性があった方がやりがいがありますから、ここからスタートするといいでしょう。
もちろん、その先にはいろいろな応用があります。
よい人間関係をつくるにも、説得をするための前段でも、ほめる訓練が役にたちます。
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L研リーダースクールの総合コミュニケーション科では、コミュニケーション科のコミュニケーションスキルに加えて、組織行動や問題発見能力、問題分析力を期会えることができます。
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佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)
本書はL研リーダースクールの通信講座初等科やコミュニケーション科のメインテキストです。初等科では、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。さらに、人間分析法として、人間の価値観10タイプの解説を動画で提供しています。
■関連資料:佐藤直曉著『リーダーの人間行動学』
人間の行動基準パターンとその理論を簡単に紹介しながら、応用として、歴史上の人物の行動分析を行っています。歴史上の人物には極めて強い個性をもっている人が多く、そのため特徴がはっきりでやすく、人間分析が比較的容易です。したがって、勉強材料としてとてもよいのです。
本書はL研リーダースクールの通信講座初等科やコミュニケーション科のメインテキストです。
扱っている人物は、南極探検家スコット、乃木希典、空海と最澄、ショパンとジョルジュサンドです。 いずれも、極めてユニークな個性の持ち主ですので、特徴がわかりやすく、理解しやすくなっています。