ほめるのが嫌いな人とは2

選手をほめない理由

なぜ、野村さんは選手をほめないのでしょう。彼はこんなことを言っています。

1.ヘタにほめると、「なんで、この程度のことでほめるの?」と、思われかねない
2.「ナイスプレー」や「ナイスバッティング」は、誰が見ても同じことだから、ほめたことにはならない
3.相手の考え方や意見をほめるのは、なかなかできない
4.むしろ、欠点を指摘するほうが簡単である

さて、今のところを読んだ感想はいかがでしょうか。まず、①の「ヘタにほめると、『なんで、この程度のことでほめるの?』と思われかねない」について考えてみましょう。

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どんな相手でもそうですが、ほめるときには、相手が言ってほしいと思っていることをピタリと当てて言わないと喜びません。中途半端なほめ言葉は、心に全然響きません。これは定石ですから、よく頭に入れておいて下さい。

ですから、もし相手にふさわしい言葉でほめることができないのであれば、野村さんの言い分どおり、相手は「なんで、この程度のことでほめるの?」と思うでしょう。

ところで、野村さん自身は、どんなことをほめられたいのでしょうか。それが、どうやらあまりほめてほしくないようなのです。

野村さん自身の関心事は技術の向上だと思います。その証拠に、選手時代、②の「ナイスプレー」や「ナイスバッティング」のようなほめられ方をされても、ちっとも嬉しくなかったと言っています。その程度の言葉では技術は全然向上できないと、野村さんは思っていたのでしょう。野村さんはそんな中味のない言葉より、もっと具体的な欠点とか改善点の指摘がほしかったのだと思います。

ですから、安易なほめ言葉を使う人を「能力がない人間だ」と、野村さんは軽蔑したくなるのです。人のことをそう思うくらいですから、当然自分もそうしたくないはずです。そこで、野村さんはあまり選手をほめないのではないでしょうか。

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本稿は、佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)の一部です。

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