教えない指導こそ真の指導

教えない指導というと奇異な感じがするかもしれません。

しかし、教えすぎることはかえって害が多いこともあります。ましてや、リーダーが次々と栄養剤を飲ませるように指導するのはどうでしょうか。

そこには学ぶ者の自発性をまったく理解していない姿しかありません。

以前「啐啄同時」という言葉を紹介しました。

卵のなかの雛がコツコツと卵の殻を内から叩く。その音を聞いて親鳥が外から殻をつつく。

それで雛が生まれるのだという故事です。

親鳥がコーチや教師で、雛が生徒とか学ぶ人。

しょせん、雛がやる気がなければうまくいかない。どんなに外から言っても駄目なものは駄目です。

やはり本人の自覚しかありません。教えればうまくなるというのは錯覚でしょう。

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野球界の名コーチとして知られる権藤博さんの指導理論に私は大いに賛同いたしております。

以下は日経新聞からの引用です。「教えないコーチ」から体罰をみると…  :日本経済新聞」

「どの世界でも頂点を極めるような人は自分で成長のヒントをみつけ、課題を克服できる。

だから、プロでトップを狙おうという選手に教えてうまくなるやつはいない、というのだ。

実際には自分自身の才能に気付かなかったり、失敗を重ねて自分の長所を忘れてしまうなどの理由で伸び悩むケースが少なくない。

そこでコーチの出番となるわけだが、一番大事なのは選手に自信を回復させ、前向きに進む勇気を持ってもらうこと。

それがコーチの一番の仕事だと思っている。」

 

「指導者は「しょせん、やるのは選手」という割り切ったものを、心のどこかにもっていないといけないと思う。」

 

「叱るときに注意しないといけないのは、その人物の本質に関わる部分、一番の長所に関わる部分に触ってはいけない、ということだ。

私の仕事は投手を育てることだが「投球」という本筋に関わるところでガミガミ言ったことはほとんどない。

青山もバントという“本業”ではないところで叱った。自分はここで勝負する、それで生きていくしかないという核心的な部分で“駄目だし”をされたらどうだろう。

スポーツの世界に限らず、自分のすべてが否定された気持ちになるのではないだろうか。負けることによって、一番悔しく焦っているのは当の本人だ。

だから、そこを叱るときは本当に慎重にしないと選手の傷口に塩をすり込み、萎縮させるだけの結果に終わってしまう」

 

うまくなる人は教えようが教えまいが伸びる。

創意工夫の楽しさを知っているからです。

自発性を発揮しないと、人間は伸びません。

ただ、そういう人でやる気があっても道に迷うことは多々あります。

そういうとき、そっと手をさしのべる。これが本当のコーチでしょうね。

リーダーもずいぶん参考になると思います。

 

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