どんなときにも優しい言葉を:コミュニケーションの戦術

北辰一刀流の千葉周作は、合理的な人で有名でしたね。

多くの道場が神がかりの技を宣伝するとき、千葉道場はもっぱら技術オンリー、よけいな精神論を排除した稽古スタイルをとりいれていました。

たとえば、竹刀の活用がそれ。これでケガが少なくなり、稽古量が増えました。

竹刀は邪道という声にも屈せず、やがて他の道場で8年かかるところを千葉道場は3年でマスターできると評判になりました。

この千葉周作にはこんなエピソードがあります。

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あるとき道場破りがやってきて試合を申し込まれました。

相手になったところ、なんのことはない、たいへん弱い相手。徹底的にたたきのめしました。

さて、ふつうなら、「馬鹿め」とか言って道場の門からたたき出すでしょう。

よく時代劇ドラマにそんなのがありますね。

ところが、千葉周作はそういう下手はしない。

なんと、別室にその相手を招いて、ごちそうをふるまうのです。そして、

「貴殿の技には驚嘆いたしました。天下広しといえどもあのような技を見たことはありません。今日はよいものを見せていただきました。そのお礼と申してはなんですが、さあ、どうぞ召し上がってください」

とか言っちゃって、酒でも呑ます。

なぜ、千葉はこんなことをしたのか。

「あとで恨みをかったら災いになる。だから、叩いた相手には必ずこうやっておくのだ」と門弟に言っていたそうです。

これぞコミュニケーションの戦術です。

目的は試合に勝ち、そのために相手を激しく叩くこと。それはそれでいいのです。

しかし、コミュニケーションの戦術はそれによるデメリットをカバーしないといけません。

目的が激しいものであっても、それに呼応するかのように激しい言葉を浴びせたら、恨みをかってあとでブスッと刺されるかもしれません。

それを理解している者は、自らを守ることになる。

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