コミュニケーション能力向上に欠かせない説得の作法

ある人は、あまり仕事がうまくいかなかった。そんなとき上司が声をかけました。

「君の能力はこんなものじゃないだろう!?」

そう言われてから、その人は一生懸命仕事をするようになったそうです。あとで言っていました。

「あの時『なんだ、ばか者!全然出来てないじゃないか』と言われていたら、今日の私は無かったかも知れません」

よい上司に出会えるのは、ビジネスマンにとって幸せなことでしょうね。

さて、少し理論に触れておきましょう。コミュニケーション能力向上において是非マスターしていただきたい「説得の作法」です。

以下は、拙著『リーダー感覚』「第五章リーダー感覚の中等訓練」よりもってきました。

説得の作法のステップ:

1相手の言い分を反論しないでよく聞く(たとえ間違っていると思っても)

2相手のしたこと、考えたことを、正当化できるような理屈を並べ、認める

3相手の自尊心が満たされ、相手が聞く耳をもつようになる

4相手の道理に基づいた、もっと有力な説得の道理を示してやる(この部分に暗示を用いると、さらに効果があがる)

5相手の考え方や行動が変わる

先ほどの例でいえば、上司の言葉は、3の「相手の自尊心が満たされて聞く耳をもつようになる」という効果がありました。

人間を扱ううえで大事なのは自尊心と言ってよいでしょう。みな自尊心をもっている。それを傷つけないようにしないといけません。

それから上のセオリーはあくまで一般的な方法論であり、1と2は3の「自尊心を満たし、聞く耳をもたせる」ための手段であるともいえます。

ですから、1と2がなくても、3さえできればいいのです。3に達する手段はほかにもいろいろありますから、そこは応用ということです。

要は自尊心を満たして、聞く耳をもってもらうことです。それから、そういうことができるためには日ごろの人間関係がとても大事です。

あなたがチャランポランな上司だったら、いくらハウツウを駆使してもうまくいきません。そこは「リーダーたる条件」ということですね。