ナーシングビジネス誌2016年7月号に寄稿

ナーシングビジネス誌2016年7月号が発売になりました。

このなかで、特集があります。

「頼れる上司になるための超実践的リーダーシップ入門」というものです。

このなかで、私は『看護管理者が身につけるべきリーダーシップとは』というテーマで8ページ書いています。

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チームマネジメントは人間行動学で行う

チームマネジメントというとマネジメントのスキルが大事なように思われるかもしれません。しかしそれだけでは実は難しいものです。もっと人間的な側面を考慮しないといけないでしょう。

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たとえば、あるプロジェクトをおこすとします。

工場の工程改善問題を考えてみましょうか。

プロジェクトを進めるためにいろいろな手法がありますので、それをどう進めるか、つまりHOWについては、担当者はよく知っているでしょう。

ところが、スキルだけでは組織は動かないものです。

プロジェクトの成功条件としては最低こういうものが必要でしょう。

  1. そのプロジェクトを支持しているトップがいること。人材や資金を得るにはそういうリーダーの支持が不可欠です。
  2. 現場の人の支持があること。

現場の人の支持を得ること一つとっても、実際にははたいへんです。

なぜならば、たいていのシチュエーションでは、現場の人はよけいな仕事が増えていやだったり、成功できるか疑心暗鬼だったり、いまのやり方を変えたくないと考えたりしがちだからです。

ほかにも、変化への抵抗理由は様々あるでしょう。

これをうまくクリアするためには、信頼をえることが第一です。

信頼をえるためには、このブログで紹介しているコミュニケーションスキルも必要です。しかし、それだけでは難しいでしょう。

正確にいえば、可能です。ただ、コミュニケーションスキルを組織に適用するすべを知らなければなりません。

いちばん大事なのは、チームメンバーのプロジェクトに対する成功確信感を高めるスキルです。

そして、それは実際にプロジェクトがうまくスタートすることからしか得られません。

それを可能にするのは、やはり人間心理や行動をよく考えてチームを導くプランとスキルが必要になります。

要するに、人間の行動をよく理解してチーム運営を行うことなのです。

特に私が大事なのは、仕事の手順を決めること。

うまく仕事のステップをくんで、自信をもたせながらプロジェクトを遂行していくスキルです。

資料としては『暗示型戦略』をお薦めします。

これに関する紹介動画もありますのでごらんください。

コミュニケーションとは似て非なる問題2

先日も同じ題で投稿しましたが、コミュニケーションの問題と組織上の問題とはごっちゃになりやすいので、よく考える必用があると思います。以下は、あるIT企業での事例ですが、問題をコミュニケーションであると決めつけて考察しています。でも、少し違うのではないかと思うのです。

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内容は、「エグゼクティブのための人財育成塾:SEのコミュニケーション能力向上がITを「武器」に変える~その3 (2/3) – ITmedia エグゼクティブ」より引用しました。

「A君は、入社3年目のプログラマーである。情報工学を大学で専攻していた事もあり、プログラミングには大変自信を持っている。ITに関する知識は、社内の同期の間でも定評がある。そのため、少々難しいプログラムでも短時間でコーディングできるのだが、ケアレスミスが多いのが欠点である。現在従事しているプロジェクトでも、上司であるSEのBさんから注意するように時折指導を受けている。

要件定義フェーズの終盤で、ユーザーからある機能のプロトタイプを見せて欲しいとの要望が出た。Bさんは、A君に依頼しプロトタイプを作成してユーザーに見せたところ、重要な部分ではなかったが細かな部分で要件定義の内容と違っていると数多くの指摘を受けた。その結果を受け、BさんとA 君はPMである課長からユーザーの信頼を失うと指摘され、特にA君のケアレスミスに関しては仕事の基本ができていないと厳しく叱責された。そこで、BさんはA君にフォローの指導をすることにした。」

この問題は、A君が仕事の前にチェックリストを書く手間を省き、チェックをよくせず自分の好きなように仕事を仕上げてしまったのが原因とされています。

そこで、A君の気持ちを害さないように注意をしているBさんの様子が、このあと述べられています。

しかし、まだ不十分であり、Aさんの論理についての配慮がないことが示されています。

この記事を読んで、私は奇妙な感じがしました。ケースですから、本当の姿は違うのかもしれませんが、もしこれが事実であるなら、おかしなことなのです。

それは上司であるBさんが、品質チェックにまったくかかわっていないことです。つまり丸投げしているのです。

もし、事実なら、こちらの方がより重大な問題です。商品をつくる者とチェックする者とは別々にするというのが常識でしょう。一人企業ならいざしらず、そこそこの企業なのでしょうから。

この記事を書いた人は、それがAさんが言いたかったことだと言いたいのでしょうか。それはわかりません。

しかし、記事を読んでいると、どうもそうは思っていないようにとれます。

部下を指導するさいのコミュニケーションの問題としてこのケースは書かれていますが、なにもかもコミュニケーションの問題ではない。組織の仕組み自体が間違っていることもありますので、そこは気をつけないといけないと思いますね。

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

コミュニケーションとは似て非なる問題

コーチングなどでは、「相手の立場に立って考えてみろ」と言います。

いかにも良いことを言っているような気がしますが、常識は疑って考える必要があります

たとえば、営業をあげたい“いけいけどんどん”の営業部隊長と、怪しげな顧客との取引リスクを回避したがる管理部門スタッフが対立したとします。

こういうことは、企業ではよくあることです。

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お互い感情的になって、いつもやりあっている。

そういうとき、コーチングではよくこのように提案するらしい。

相手になりきったつもりになり、相手がどのように物事を考えるか、そして、自分の言葉がどのように伝わるかを実感する。

これによって、「相手の立場に立って考える」ことができるようになる。

でも、相手の立場に立って,相手の考えがわかったとして、どうなるのでしょうか。

お互いのことはわかっている。立場だってまあわかっているでしょう。

営業の方は「あいつは小心者の管理屋だ」と馬鹿にし、管理の方は「ただの猪突猛進だ」と馬鹿にする。

コミュニケーションの問題とは思えません。仮にお互いの立場がわかったとしても、業務の性格からして解決はできない。

相手の立場がわかっても、自分の立場が優先される。

これは、結局は会社の意思決定の仕組みの問題でしょう。

だから、だいたいはそのとき声の大きい方が勝つ。

それから、別の話ですが、部長が社長からの情報をあえて部下に知らせないということもある。

部長はそうすることで、部下に対して情報優位となり、自分の地位を保てるからです。

情報が伝わらない部下が社長に不平を言って、それを聞いた社長が部長に「コミュニケーション研修を受けてきたら」と薦めても役にたちません。

これはコミュニケーションの問題ではないので、ダメなのです。

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

チーム運営のための非言語コミュニケーション

リーダーは心理効果をもっと学ぶといいと思います。

リーダーの条件には「メンバーに夢をもたせること」と「それを実現させるための道筋を示すこと」があると思います。

それについては、私の本『暗示型戦略』に詳しく書いてあります。

ところで、この「道筋を示す」ですが、最近は「工程表」という言葉がさかんに使われております。

ただ、この工程表という言葉には、私は少々ひっかかる。

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工程表というと、なにやら無機質的な気がするのです。

工程表というとガントチャートを思い出します。

建築現場は狭いので、置き場に困る。そこできちんと作業工程を管理し、コンクリートを何時にもってきて、鉄資材は何時にもってきて、明日は何時にサッシ窓をもってきて、という具合にきちんと管理する。

工場の生産管理でも使われますね。

この部品を何時までにつくり、次にそれを組みたてて、別の部品といっしょにして、とかという工程表のことです。

物作りの現場ではそういう合理性がとても大事なのはわかります。

ですが、戦略となると、もっと心理的な側面を考慮しないといけないだろうと思います。それが、『暗示型戦略』の主張です。

なぜ暗示かというと、やり方によって、非常に勇気ややる気がわくのです。

たとえば、初期の段階では小さなもので良いから完璧なものをつくる。

「これを拡大したらすごいものになりそうだ」という空想を関係者に植えるのが狙いです。

初期段階で時間やコストをかけるとプレッシャーが強くかかりすぎます。

小さく産んで大きく育てた方がよい。

ただ、小さいだけではダメなんです。「これはすごいものになりそうだ」という連想が働くように工夫しないといけません。

それから、先例とか参考例を見にいくのもよい。

「これなら、自分たちにもなんとかやれそうだ」という空想を生むようにもっていく。

このように、ポジティブな空想が生まれるようにもっていくのが、肝心なところです。

このあたりは、言葉を用いないコミュニケーションということになるのかもしれません。

特にチーム運営においては重要なコミュニケーションスキルになるでしょう。

人間心理をもっと多くのリーダーに勉強していただきたいと思っています。

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■暗示型戦略に関する参考書籍

本稿は佐藤直曉著『暗示型戦略』(鳥影社)の内容の一部を紹介したものです。

本書は、チーム運営におけるゴール達成までのプロセス構築法を紹介しています

解説はこちらからどうぞ

 

希望のゴールと障害克服のゴールを選択する

先日、希望駆動型と危機駆動型のリーダーがいると説明しました。 こちら

チーム運営のゴールについても、希望追及型と障害克服型があり、どちらを選択するかはとても大事になります。それは、状況によると思います。

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だいたい世の中のゴールとはなかなか難しいことが多い。難しいからこそゴールとして設定するわけでしょう。

この難題を解くには、一足飛びではいけません。そこで、ステップに分けて行う必要が出てきます。途中の段階でのサブゴールを設けます。

つまり、「Aができたら、次ぎにB,Cともっていき、最後にGoal到達だ」という説明をする。

工程表と呼ばれるものも、この一種でしょう。

さて、この途中段階のサブゴールでは、希望を追及するか、危機を乗り切るかの選択をします。

一言で言えば、メンバ-が自信がないときは希望追及の方がよい。自信のない人に危機を克服せよと言っても、元気が出るわけがない。

一方、自信があるときは、危機乗り切り型がよい。少しぐらい無理を言っても、「やってやろうじゃないか」と頑張ってもらえる。

そのあたりの空気をリーダーは読まないといけません。

ただし、それぞれはサブゴールですので、最終ゴールがないと話になりません。これがないから日本政治はどうにもならないといえます。税と社会保障一体化にしても、原発再稼働にしても。

拙著『成功を確信させる暗示型戦略』は、このあたりを取り上げていますので、参考にしてください。

危機感で人を動かすか、希望で人を動かすか

4,5年前ですが、エコノミストの竹中正治さんが、日本人のリーダーは「危機感駆動型」だと言っておられました。

「『このままではお前(日本)はダメになる!』『危機だ!』と言われると強く反応して動き出す」

「『危機・没落に直面しているのだから構造転換(改革)しないと日本はダメになる』なんて議論は、戦後を通じて何度も形を変えて繰り返されてきた」

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これに対して、「米国人に多い類型は『希望駆動型』で、『できるじゃないか!』『ステップアップできるぞ!』と励まされると強く反応して動く。

エコノミストも、米国では毎度楽観的な見通しを言う連中がなぜこうも多いのかと、竹中さんは首を捻っています。反対に日本のエコノミストには、どうして「危機の預言者」みたいな連中がわんさといるのか、ですと。

政治も同じだそうです。日本の歴代首相や政治家は、「まず危機感の強調から始まるタイプが多い。『日本はこのままではダメになる!』方式となる。

一方、米国の大統領、政治リーダーたちはどんな困難な状況でもまず希望を語ることから始める。『私のリーダーシップを受け入れるならば、難局は打開できる』と、まず希望を語るのが米国のリーダーの資質だ」

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上の文章を読み返すと、いまでも変わらないなあと思います。

アメリカのオバマは、リーマンショックのあとでYes,We canでしたね。

野田総理は財務官僚に丸め込まれたかどうかしりませんが、「今決断しなければ日本が危ない」としきりに言っています。

税と社会保障の一体化なければ、日本の未来はないとかなんとか言いながら、社会保障の未来像はこれから考えるだそうです。

原発再稼働もそうでした。「このままでは電力需給が危ない」

ただし、「では根本的にどうしたらよいか」という希望のビジョンがないから、「危ない、危ない」というただの脅しになる。

そして、脅しておいて、「だから自分の言う事を聴け」だけになる。

どういう状況で希望と機器駆動を使い分けるべきか、またそれぞれどういうように計画をつくるべきか、考えてみれば私は拙著『暗示型戦略』にそのあたりをていねいに書いていました。

コミュニケーションとマネジメントの組み合わせ

整体の先生が弟子に「お風呂を見てきて」と言ったら、

「はい」と言って、しばらくして

「見てきました」

そこで、師匠が風呂に入ったら、まだ水。

「何見てきたんだ」と怒鳴ると、悪びれず答えたという。

「ちゃんと見てきました。水は入っていました」

こういうのは国語力の問題。あまりこういう言い方に慣れない人だったのかもしれませんが。

ここまでひどいかどうかともかく、言われたことしかやらない部下は結構いるようで、リーダーは苦労しているらしい。

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いわれたことしかやらない部下にどう接するか(プレジデントオンライン) – goo ニュース

これは、コミュニケーションの問題というよりも、マネジメントの問題かもしれません。

そもそも職場において創意工夫をしあう雰囲気がない、ということがあるのではないでしょうか。

創意工夫をうながすには、そもそも仕事がおもしろいと思っていないと難しい。そのあたりの工夫を考えないといけないでしょう。

あるいは、どうしたら仕事がおもしろくなるか。

もちろん、コミュニケーションの領域でも問題があるでしょう。

せっかく工夫しても、リーダーが「そんなバカな方法はおかしい」と批評したり、認めなかったりすれば、部下は二度とアイデアを出そうとはしないでしょう。

大事なのは、チームの中で創意工夫をよく行う人を、リーダーは積極的に褒めること。

そうすると、チーム全体が、「創意工夫」に意識が向くようになります。

この点では、上の記事を書いた人にまったく同感です。

組織のなかで意見を通すためのコミュニケーション戦略

これは拙著『暗示型戦略』に詳しいのですが、私はこのテーマについては、いろいろなところで触れています。

拙著『伝動戦略』では、上杉鷹山の藩政改革を分析しています。私は世間で言うほど、鷹山の改革が上手くいったとは思っていません。

その理由は本をお読みいただくとして、ここでは組織のほとんどが反対するテーマをいかにse説得に導くか、そのエッセンスを紹介しておきます。

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「説得は受容度の高い人から、というのがセオリーである。

イノベーションの浸透を無理やり加速させようとするのは、いちばんまずい手である。

いたずらに力でごり押ししても、うまくいかないものだ。

組織の中には、新しいものにすぐ飛びつく人、じっくり様子をうかがってからでないと採用しない人、最後まで拒絶する人というように、いろいろなタイプが混在している。

イノベーションを普及させようと考える者は、どういう手順で受容度の異なる人々を説得していくかを十分考える必要がある」

この手順に興味のある人は、暗示型戦略の説明サイトをご覧ください。

チーム運営のためのコミュニケーションの要諦

たまには、チーム運営のコミュニケーションを扱いましょう。これはL研リーダースクールでは高等人間行動学科で学ぶことになっていますので、このブログではあまり取り上げていません。

重要なことは、リーダーが目指すべき方向を示すことですが、それをコミュニケーションで具体的にどう表現したらよいかを考えてみます。

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残念ながら「こうしてほしい」と方向を言っただけではあまり効果がありません。効果があるのは、リーダーの行動に沿っている人の行動をほめることです。

つまり、「(自分が)チームのなかで増やしたい部分に(自分から)反応する」ようにするとよい結果がでる、というのです。

もっとわかりやすく言えば「よい反応を示している人をいちはやく集団の中で見つけ、彼らを、認め、励ます」ということ。

たとえば、高校生のワークショップでは、

「あっ、そこの後ろの男子の人たち、積極的に動いてくれてますねー! いいですねー!」
「あっ、前の女子の人たちは、もういすを移動して円になって座っていますね。動きがかろやかですね」
「みんな協力的に動いてくれて、進行上とっても助かります。ありがとう!」
こう言うと、ほかの子たちもだんだんそのように活動してくれるのだそうです。

大人の場合でも同じ。

10人くらいの社内グループで、常習的に遅刻する人が2,3人いたとします。このとき、新人リーダーはどう対処すべきか。

何も言わないのは最悪。しかし、遅れた人間に文句を言えば、場の雰囲気が暗くなる。そこで、こうする。

「まとめ役の私が新人であるにもかかわらず、非常に多くの先輩が、毎回時間をきちんと守って集まってくださっていること、大変助かっております。とくに本日は棚卸しの時期で、仕事を抜けてくるのも大変だったと思いますが、時間厳守できてくださってありがとうございます」

このように言うと、いつも時間をきっちり守ってきている人は、認められたので悪い気はしない。これからも時間を守っていこうと励まされる。一方、遅刻し続けている人は、

「まとめ役が新人だから、少々遅れても、まあいっか、と思ってきたけど、みんな意外にちゃんと協力してるんだな」

「遅れていたのは俺だけ?」と時間厳守で来ている人に、神経を使い始める。

チーム運営というのは、よいところにスポットライトを当てるようなものですね。