コミュニケーションの問題に似て非なる問題

新年あけましておめでとうございます。

しばらく更新がとどこおっていましたが、今年から毎週水曜日に更新することにいたしました。

ということで、本年もよろしくお願い申し上げます。

今年のL研リーダースクールでは、初等科2が売りです。

新たに動画を作り直しました。内容的にはかなりハードになっています。

テーマは3つ。説得の技術、認める技術、欠点を指摘する技術です。

それぞれ3週間、職場で実践していただきます。

とにかく一つでもやってみれば、得るところは大きいでしょう。

だんだん、コミュニケーションの感覚が鋭くなってきます。

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コミュニケーションスキルだけを練習してもあまり効果はないといえます。

人間行動はどういうものか、その本質を知ることができれば、スキルなんか忘れたってふつうにできるようになります。

それを小手先のスキルばかり覚えて真似しても、応用力はつきません。

ヒューマンスキルの勉強で難しいのは、教える人と教わる人が環境がまったく違うこと。

そして、相手にする人も違ってきます。

有名大企業の社長の講演を零細企業の社長さんが聞きに行っても、あまり役に立たないのと同じですね。

環境が違うのですから、同じことをやってもあまりうまくいくはずがない。

いけいけどんどん型のトップセールスの方法を、おとなしくて内気なセールスマンが真似をしても劣等感を感じるだけでしょう。

トップセールスのような行動力があるはずないですから。

ですから、自分なりにアレンジしないといけません。そのときは、スキルのコンセプトをきちんと理解している必要があります。

そこさえはずさなければ、応用は自在です。

さて、今日はコミュニケーションスキルの問題かそうでないかを考えてみましょう。

コミュニケーションが下手な部長?

ある大企業の役員さんは部下のB部長のことで頭を痛めておりました。

「B君は私のために骨身を惜しまず、こまめに働いてくれる優秀な人間なのに、どうも部下を生かして使っていないように思える」と考えました。

彼は部下に対してもこまめに指示を出し、部下の行動に気遣っているように見えました。

しかし、彼が時々声を荒げるような状況を見るに付け、「どうも彼はコミュニケーションがうまくないようだ」と気付きました。

そこで彼をコミュニケーションの教育で有名なある研修セミナーに参加させることにしました。

しかし、果たしてこれはコミュニケーションの問題でしょうか?

Bさんは、上司の気持ちを推察し細かく心使いをし、仕事上の報告を手落ちなくこまめに正確にしています。これを見るかぎり、どうしても彼がコミュニケーション下手とは思えません。

一方、Bさんは部下に対して仕事の最終目標を明確に伝えていません。

さらに仕事上の問題の周辺事情を、意図的に最小限度しか伝えていません。

つまり、Bさんは自分の持っている情報を出来るだけ胸にしまい、部下には全ての情報を教えないようにしているのです。

その結果として、部下は長期的で広い視野に基づく判断が出来ず、混乱しています。

Bさんは部下の指導を会社のためにしていると言うよりは、情報をコントロールすることで、彼自身の地位を強めようとしているのです。

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問題の本質がどこにあるのか、常に考えないといけませんね。

 

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍 

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科1、初等科2のメインテキストです。初等科1では、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

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コミュニケーションスキルのなかで、最もベーシックで、応用範囲が広いスキルが、ほめる技術です。

ほめる技術を徹底的に行っていくのが、初等科1の講座です。L研リーダースクール初等科1

 

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コミュニケーションスキルのなかで、高度なスキルを練習する応用講座が、初等科2の講座です。

L研リーダースクール初等科2

 

 

教えない指導こそ真の指導

教えない指導というと奇異な感じがするかもしれません。

しかし、教えすぎることはかえって害が多いこともあります。ましてや、リーダーが次々と栄養剤を飲ませるように指導するのはどうでしょうか。

そこには学ぶ者の自発性をまったく理解していない姿しかありません。

以前「啐啄同時」という言葉を紹介しました。

卵のなかの雛がコツコツと卵の殻を内から叩く。その音を聞いて親鳥が外から殻をつつく。

それで雛が生まれるのだという故事です。

親鳥がコーチや教師で、雛が生徒とか学ぶ人。

しょせん、雛がやる気がなければうまくいかない。どんなに外から言っても駄目なものは駄目です。

やはり本人の自覚しかありません。教えればうまくなるというのは錯覚でしょう。

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野球界の名コーチとして知られる権藤博さんの指導理論に私は大いに賛同いたしております。

以下は日経新聞からの引用です。「教えないコーチ」から体罰をみると…  :日本経済新聞」

「どの世界でも頂点を極めるような人は自分で成長のヒントをみつけ、課題を克服できる。

だから、プロでトップを狙おうという選手に教えてうまくなるやつはいない、というのだ。

実際には自分自身の才能に気付かなかったり、失敗を重ねて自分の長所を忘れてしまうなどの理由で伸び悩むケースが少なくない。

そこでコーチの出番となるわけだが、一番大事なのは選手に自信を回復させ、前向きに進む勇気を持ってもらうこと。

それがコーチの一番の仕事だと思っている。」

 

「指導者は「しょせん、やるのは選手」という割り切ったものを、心のどこかにもっていないといけないと思う。」

 

「叱るときに注意しないといけないのは、その人物の本質に関わる部分、一番の長所に関わる部分に触ってはいけない、ということだ。

私の仕事は投手を育てることだが「投球」という本筋に関わるところでガミガミ言ったことはほとんどない。

青山もバントという“本業”ではないところで叱った。自分はここで勝負する、それで生きていくしかないという核心的な部分で“駄目だし”をされたらどうだろう。

スポーツの世界に限らず、自分のすべてが否定された気持ちになるのではないだろうか。負けることによって、一番悔しく焦っているのは当の本人だ。

だから、そこを叱るときは本当に慎重にしないと選手の傷口に塩をすり込み、萎縮させるだけの結果に終わってしまう」

 

うまくなる人は教えようが教えまいが伸びる。

創意工夫の楽しさを知っているからです。

自発性を発揮しないと、人間は伸びません。

ただ、そういう人でやる気があっても道に迷うことは多々あります。

そういうとき、そっと手をさしのべる。これが本当のコーチでしょうね。

リーダーもずいぶん参考になると思います。

 

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍 

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

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コミュニケーションスキルのなかで、最もベーシックで、応用範囲が広いスキルが、ほめる技術です。

ほめる技術を徹底的に行っていくのが、初等科Ⅰの講座です。L研リーダースクール初等科1

 

自分で問題を考える力を養うことがリーダーにはいちばん大事

L研リーダースクールで学ばれる受講生の職種はいろいろですが、L研リーダースクールでは特にその業種に特化したリーダーシップ開発プログラムを用意してはおりません。

外では、特定の業界での専門家によるリーダーシップ講座というのはよく見受けます。

業界の事情をよくわかっている方が、受講者は安心かもしれません。

しかし、L研リーダースクールで扱う内容については、どの業種もそんなに変わらないのではないか、という気がするのです。

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相手は人間ですからね。犬や猿の調教となると、さすがに私どもでも手が出せそうもありませんが、人間関係マネジメントはそんなに違わないでしょう。

たとえば、ある本には、看護婦さんが悩んでいるケースとして「自分が育てられたようにスタッフに厳しく接するのがよいと考えているリーダー」というのが載っています。

教育は非常に潜在意識にすりこまれやすいものです。だから、自分が習ったように、人に教える人はとても多い。

体罰を行うような教師は、自分も体罰を受けた経験がある人でしょう。そのようなことは私の「リーダー感覚」にも書いてあります。

人に厳しく接するリーダーでは、元楽天監督の野村さんがそのような感じでしたね。彼も、選手時代に鶴岡監督仁一度もほめられなかったと言っています。

しかし、その教授法が合う人もいれば合わない人もいる、ということをリーダーは悟らないといけませんね。

詳しくは『リーダー感覚』をお読みください。

どうも、人間のやることは、職種に関係なく、だいたい同じだと思えてならないのです。

ですから、L研リーダースクールの通信講座を受講される方は、基本を学んで、それをご自分の職種や仕事にどうやって応用できるかを考えていただきたいのです。

このリーダーとしての考える能力が仕事では最も大事なことであり、実はこの力を伸ばすのがL研リーダースクールの最大の狙いでもあるわけです。

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍 

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

 

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コミュニケーションスキルのなかで、最もベーシックで、応用範囲が広いスキルが、ほめる技術です。

ほめる技術を徹底的に行っていくのが、初等科Ⅰの講座です。L研リーダースクール初等科1

ほめることのできない人

ほめることができない理由はいくつかあります。

そのなかで、最も深刻なのは、リーダーとしての立場を保てないことでしょう。

メンバーの中に、自分より優秀だと思える若い人がいると、嫉妬し、やっつけてやりたいと思う。

そこで、メンバーの悪いところを声高に批判したり、叱ったりする。また、当てこすりをしたりする。

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こういう人は、リーダーの仕事とは何かをわかっていない。リーダーは部下に仕事をしてもらってはじめて仕事をしたことになる。それがわからないものだから、部下と同列になって、同一目線で競争してしまう。

時々こういう人がおります。要するに、自分に自信がないんです。

こういう人をリーダーにすること自体が間違っています。

心当たりのある人はすぐに心を入れ替えて、拙著『リーダー感覚』を読むことです。

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コミュニケーションスキルのなかで、最もベーシックで、応用範囲が広いスキルが、ほめる技術です。

ほめる技術を徹底的に行っていくのが、初等科Ⅰの講座です。
L研リーダースクール初等科1

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

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部下と競争するリーダーは最悪

ホンダの創業者本田宗一郎さんは結構手荒い人で、部下が真面目に仕事をしないと、ハンマーか何か工具をもって追いかけるような直情的な人だったそうです。

本田さん自身がテストドライバーになって車を運転をしたとき、車が壊れてヘタをすれば命を失うような事故が起きたときがありました。

担当者は真っ青な顔でやってきましたが、本田さんは特に怒った様子も問い詰めることもなく、お茶を飲んで世間話をするだけだったそうです。

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本田さんの名女房役と言われた藤沢さんという人は、こんなことを書いています。たぶん、本田さんから見習ったことだと思います。

「得意になっている人に一喝やると伸びるが、失意の人にダメだと言えば、ただでさえ悲観しているのにますますマイナスになってしまうので効果がない」

このようなことがわからないと、本当は最良のコミュニケーションをとれないでしょうね。

そもそも、なぜリーダーが怒るのでしょうか。

たいていは、自分の感情を抑えきれないからです。

そもそもすぐ感情的になるタイプがおります。言葉よりも先に手が出るタイプもおります。ゲンコツです。昔の頑固オヤジにはそういう人が多くおりましたね。

一方、徹底的に自制している人もおります。感情を抑制するタイプがおります。自制しているだけに、タガがはずれると、ちょっとしたことで怒りが沸騰してしまうことがよくあります。

いずれにしろ、欲求不満が心の底にある。

しかし、最悪なのは部下と競争するリーダーです。部下と競争するとは、部下を批判したりイヤミを言うことです。

自信のないリーダーは、自分の有能さを誇示したい、自分を認めてもらいたいと思い、そのあげく部下と競争します。これはリーダーとしてはいちばんしてはいけないことです。

実力のないリーダーほど、部下を支配しようとして怒鳴り散らすものです。

リーダーとは何かをわかっていないから、こういう行動になるのです。たとえば、有能な営業マンに営業所長が怒鳴ったりイヤミを言うようなことです。この所長は、自分の仕事をまだ営業マンと同一線上にしかとらえていない。だから、部下と競争してしまうのです。

このようなリーダーは、コミュニケーションうんぬんの前に、リーダーとは何かを学ばないといけません。

 

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)はリーダーシップとコミュニケーション能力を実践的につける訓練法を紹介しています。極めて泥臭いが現実的な方法論です。

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

解説・立読みはこちらからどうぞ

 

 

有能なリーダーは個々の人間に適した指導法を選ぶだけではない

対人関係をこんな感じで考える人は多いでしょう。Lはリーダー、小文字のsはメンバーいろいろということです。

要は各人にあった指導をしないといけないということです。

有能なリーダーは個々の人間に適した指導法を選ぶことができます。

leader-subordnate

研修機関では、こんな感じでセミナーや話をすすめていると思います。

ところが、現実はもうちょっと考えないといけないのです。

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それは、こうです。

leader-subordnate2

つまりL(リーダー)もいろいろだということです。

こうなると、幾何級数的に組み合わせが増えて、事例をただ羅列するハウツウ的対処では不可能でしょう。

このようなときは、ある程度人間の分類を理論的におさえないとどうしようもない。

それを私は勉強し、人にも教えたいということなのです。

私が言いたいことは、リーダーはある程度自分の個性を発揮させながら、なおかつ相手にもあわせて指導法を変えることが求められるということです。

人間というのは案外不器用なもので、自分が教育されたように人を教育したくなるもののようです。

拙著『リーダー感覚』では、星野監督と野村監督の阪神監督時代を分析しています。

当時の野村さんは、選手をいびることが生き甲斐のようにすら見えました。

このような指導法をなぜ野村さんがとるかというと、野村さん自身がそのように教育されたし、また彼自身が褒められるのが嫌いなタイプだからです。

野村さんは、欠点を指摘してもらい、それを糧にしたいと考えるタイプなのです。

私の「行動分析の手引」では野村さんは8種タイプです。このタイプはたいへんな努力家です。

しかし、《褒めない》指導法は、あるタイプ(負けん気の強い頑張り屋)には有効でも、多くのタイプには不向きです。それが阪神時代の成績として如実に表れました。

阪神監督を辞めたあとの野村さんは、かなり指導法を変えています。だいぶ懲りたのでしょう。

自分の感覚とか価値観を越えて、指導スタイルを変えています。

 

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)はリーダーシップとコミュニケーション能力を実践的につける訓練法を紹介しています。極めて泥臭いが現実的な方法論です。

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

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リーダー感覚を養うのが第一歩

リーダーシップについて、いろいろな勉強をしないといけないようです。

ある研修機関のセミナーには、こんな項目がずらりとならんでいます。

  • ビジョン構想力(倫理思考、環境分析、情報収集など)
  • 組織構築力(コンピテンシー開発、人材評価、プロファイリングなど)
  • 人を動かす力(バリュー、コミュニケーション、チームビルディング、コーチング)
  • 見識拡大

たしかに、こうものがとても大事だというのはよくわかります。しかし、たいへんだろうな、とも思います。やればかなり効果があるでしょう。

ただ、こういうのができる基礎条件というのがあると思うのですよ。それは人間に関心をもっている、ということ。

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リーダーとは、自分で仕事はできないわけです。人にやってもらってなんぼの職業なのです。だから、人間をどう動かすか考える前に、目の前にいる人間に関心がもてる人でないといけないように思うわけです。

それで、私はそれをリーダー感覚と呼んでいます。まずは、そのリーダー感覚を耕す方が先であり、しかもそれができればあとあとの進歩がずっと早いと思っています。

そのリーダー感覚を開発するには、ほめる訓練がいちばんいい。

ほめる訓練のメリットは、三点ありますね。

  1. 第一に、人間に関心がもてるようになります。その結果、人間に対する観察力が養成されます。
  2. 第二に、相手の反応が理解できるようになります。つまり、相手の行動を分析でき、相手の行動特性がつかめるようになります。
  3. 第三に、相手との共感が得られるようになります。これはコミュニケーションの原点です。

要するに、リーダー感覚を高める訓練によって、まわりの人に関心がもてるようになり、人間に対する理解力が格段に進歩するわけです。

リーダーは人に仕事をしてもらって、成果をあげるのが任務ですから、まわりの人のことが理解できなかったらどうにもなりません。それを無理なくできるようにするのが、リーダー感覚訓練なのです。

9月から、L研リーダースクールでは初等科でこの面を中心にしたプログラムでご提供するつもりでいます。

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■リーダー感覚に関する参考書籍

本稿は佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)の一部を抜粋引用しながら、加筆したものです。

本書は、リーダーシップを実践的につける訓練法を紹介しています。極めて泥臭い現実的な方法論です。特に初任リーダーはまずここからお入りください。

xx解説はこちらからどうぞ

コミュニケーションスキル以前

小倉久寛さんがまだ売れていないころ、コマーシャルの仕事が入りました。

それは慣れないサラリーマンの役。

(実際、若い俳優のなかには、背広が全然似合わない人がいますね。ふだん着慣れてないからなんでしょうね)

いざ撮影が始まったのに、監督からなかなかOKが出ない。そのうち「ちょっと休憩しよう」という声が監督から出たそうです。

その休憩中に小倉さんは監督に呼ばれて「君、今日はもういいよ」と言われる。

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どうなるんだろうと思って、撮影再開後の様子を見ていたら、自分の役をなんと自分のマネジャーがやっていたんだそうです。

このときは、ものすごいショックを受けたそうです。それはそうでしょう。役者じゃない人が自分の役をやってるんですから。

それ以来もう自信喪失。毎日が暗闇。それで、劇団のトップの三宅裕司さんにわびを入れにいったそうです。すると、こう言われた。

「まだ小さいうちに失敗してよかった。大きくなってこんな失敗をしたらたいへんだった」

これを聞いて、小倉さんはすごく気が楽になったそうです。そして、このときの三宅さんの言葉を一生忘れないと言っています。

この例は、「今の小さい自分、小さい劇団」という世界に対して、「ビッグになった大きな世界」を提示して、失敗を相対的に小さく見せているわけです。

暗示の技術論としてもたいへんおもしろいのですが、それ以上に三宅さんのリーダーとしての資質を認めるべきでしょうね。

もし三宅さんがこのとき怒鳴ったら、小倉さんは終っていたかもしれませんね。

失敗したとわかっている人を怒るのは、たいがいが自分の鬱憤晴らしにすぎませんね。

リーダーになって最も苦労する人とは?

リーダーになって苦労している人というのは、部下に対して関心をもてない人なのではないでしょうか。

「いや、俺は部下に関心をもって一生懸命意見を聞いている」と言う人もいますが、よく調べると、意見を聞くのが1で、それについて自分の意見を押し付けるのが10だったりします。そういうケースが多いような気がします。

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たとえば営業課長になったら、自分でビッグな顧客を営業することももちろんありますが、同時に部下の営業マンを育てていかなければなりません。

営業技術を教えなければならないし、そもそもそれが受け入れられる信頼関係を営業マンとの間で築かなければならない。自信を失った部下は慰めなければならない。あるいは、天狗になっている営業マンは叱ることが必要かもしれません。

そういうとき邪魔なのが、「自分を示したい」とか「認めてもらいたい」という欲求です。

前者は、自分はえらいぞと、威張って見せたい欲求です。また、後者は、人に頼りたい、かばってほしいという欲求です。これを「注視欲求」と私は呼ぶことがあります。これらは非常に強い人間の欲求です。これが邪魔するのです。

リーダーとは、自分の欲求を抑えて、相手の欲求を認めてあげるのが仕事のようなものなのです。自分の欲求にふりまわされていては、仕事ができません。そういうふうに発想を転換しなければならないのに、案外それができない人が多いのかもしれません。

リーダー感覚の画像『リーダー感覚』

リーダー感覚でコミュニケーション能力を育てる

何か学ぼうとしたとき、どういう条件があれば進歩するか?

私が考える答えは二つです。

・仕事でどうしても必要になる

・やっていておもしろい、楽しい

リーダーシップをつけたいと願う人がリーダー研修などを受けるときでも同じことだと思います。

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仕事と学ぶことが直結していて役に立つか、

あるいは、勉強しておもしろいと思うことのどちらかでしょう。

リーダーの仕事をしていても、同じでしょう。リーダーをやっていておもしろいと思えたら、リーダーとしての力がつくはずです。

では、どうしたらリーダーの仕事をおもしろくできるか?

それが拙著『リーダー感覚』を書くひとつのきっかけになりました。

どんな職業でも、楽しいと思えなかったら長続きしませんし、成功できません。リーダーも同じでリーダーをやっていて楽しくなることが大事。そこで、これをリーダー感覚と名づけたわけです。

逆に言うと、リーダーとしての適格性を判断するうえでは、リーダー感覚があるかどうかが最良の判断基準になるはずなのです。

そういうことで、リーダー感覚をどうやったら獲得できるかを考えた結果が、『リーダー感覚』のエッセンスといえます。

k5リーダー感覚

極めて簡単に言うと、「人は褒められることがとても好きな動物」だということです。

そこで、リーダー感覚を高めていくには、人をほめる技術から入っていくのがよいだろうと思い至ったわけです。

この効果には三つがあげられます。

  • 第一に、人間に関心がもてるようになります。その結果、人間に対する観察力が養成されます。
  • 第二に、相手の反応が理解できるようになります。つまり、相手の行動を分析でき、相手の行動特性がつかめるようになります。
  • 第三に、相手との共感が得られるようになります。これはコミュニケーションの原点です。
  • 要するに、リーダー感覚を高める訓練によって、まわりの人に関心がもてるようになり、人間に対する理解力が格段に進歩するわけです。