立場を理解するだけではコミュニケーションにはならない

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拙著『リーダーの人間行動学』では、「人間行動の背景には、その人独自の行動基準がある」ということを主張しています。

世間一般では、指導にしろ、付き合いにしろ、人間関係で大事なのは、「相手の立場に身を置いて」考えることだと言われています。

しかし、これは私に言わせればとても危ういことです。

なぜならば、多くの人は、せっかく相手の立ち場に身を置きながら、無意識に「自分の行動基準」で考えてしまうからです。

これではまったく意味がないことになります。

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デールカーネギーの『人を動かす』に欠けているもの

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あらためて、デールカーネギーの『人を動かす』の目次を見てみました。

名著であることは間違いないでしょう。ただ、足りないところもあります。

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特に人を説得する12原則を見直してみました。

人を説得する十二原則

  • 議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。
  • 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
  • 自分の誤りをただちにこころよく認める。
  • おだやかに話す。
  • 相手が即座に’イエス’と答える問題を選ぶ。
  • 相手にしゃべらせる。
  • 相手に思いつかせる。
  • 人の身になる。
  • 相手の考えや希望に対して同情を持つ。
  • 人の美しい心情に呼びかける。
  • 演出を考える。
  • 対抗意識を刺激する。

人を変える九原則

  • まずほめる。
  • 遠まわしに注意を与える。
  • まず自分の誤りを話した後、相手に注意を与える。
  • 命令をせず、意見を求める。
  • 顔を立てる。
  • わずかなことでも、すべて、惜しみなく、心からほめる。
  • 期待をかける。
  • 激励して、能力に自信を持たせる。
  • 喜んで協力させる。

上で共通しているのは、相手の自尊心を満たすことをまず考えるということでしょうね。

でも、私に言わせると、徹底的に不足していることがあります。

たとえば、説得の場合には、相手にわかる言葉で話すということがあります。

私は人を動かすとはこういうことだと考えています。

Commu

 

 

 

 

 

 

カーネギーの言っていることは、基本的には波長あわせの部分です。

相手の道理に基づく提言を行うためには、「相手の言葉」で語りかけることが必要です。

その意味は、「相手の行動基準に沿って話しかける」ことです。

相手がロジカルな人ならロジカルに説明し、相手が名誉を重んじる人ならそれを手に入れられるように提案することです。

■参考書籍『リーダーの人間行動学』 

部下の力を発揮させられない、人付き合いが難しい。その根本原因は相手の行動基準を知らないからです。人間をどう見るのか、人をどのようにリードすればよいかを示す教科書としてお読みください。

人間分析法の学び方

釈迦は人を見て法を説くことができたとされる。相手の教養程度や性格を考えながら説法をされたのだろうが、考えてみれば釈迦のように一人ひとりの性格や能力に応じて指導を行えることこそ指導力の源泉といえるのではなかろうか。

こうした指導ができるためには、リーダーは各人の個性を的確に分析できる人間理解力が必要になる。では、我々は人間についてより深い理解力を得るための訓練をどのように行えばよいのか。私はこう考える。

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人間行動というのは、でたらめに起きるわけではない。背後には必ずその人独自の行動基準があり、人はそれに従って行動している。特に大事な場面ほどそうなる。行動基準とは究極的にはその人の価値観そのものでもあるのだ。

したがって、我々はそれを素早く的確につかむ訓練をすればよいのである。では、どのような訓練が必要だろうか。

たとえば、まわりにいる人間をていねいに観察していくことはたいへん有意義なことである。

ただ、肝心の観察相手の種類が少なすぎるケースがよくある。実際、我々がつきあっている人間の範囲はそれほど広いものではない。サラリーマンであれば、会社関係者、顧客、業界関係者などがつきあいの中心になるだろう。

職人、芸術家、あるいは格闘技家などとつきあうことはめったにないだろう。似たものどおしと言う言葉がある。そのため、多くのサンプルを得られるとは限らない。

そこで、まずは人間分析の概念と理論を学ぶことが手っ取り早い。それが体癖論であり、感受性分析である。これをしっかり学べば効果は多大だ。

この知識をベースに人間観察の訓練を続け、感受性分析を身につけるのだ。

この実践を行うときに、注意しなければならない点がある。それは判断するさいに客観性を保つということである。

相手の行動を判断する場合、「相手の立場になって考えよ」と忠告されることが多いが、私にいわせればこれはやや甘い考え方であり、また、たいへん誤解を招きやすいフレーズである。

なぜならば、とかく人は相手の立場に身を置きながら、自分の行動基準で考えてしまうからである。

正しくは相手の立場に身を置き、なおかつ相手の行動基準で考えることが必要である。この二つの条件が満たされないかぎり、なかなか客観的な分析や評価はできない。

■関連資料:佐藤直曉著『リーダーの人間行動学』
人間の行動基準パターンとその理論を簡単に紹介しながら、応用として、歴史上の人物の行動分析を行っています。歴史上の人物には極めて強い個性をもっている人が多く、そのため特徴がはっきりでやすく、人間分析が比較的容易です。したがって、勉強材料としてとてもよいのです。

扱っている人物は、南極探検家スコット、乃木希典、空海と最澄、ショパンとジョルジュサンドです。 いずれも、極めてユニークな個性の持ち主ですので、特徴がわかりやすく、理解しやすくなっています。

各人物には、それぞれ質問を用意してありますので、読者はそれを考えれば、一層人間分析の意味が理解できるでしょう。
リーダーの人間分析講座,コミュニケーション力をつける-リーダーの人間行動学

立読み:こちらからどうぞ

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立場分析で相手の本音を探る

コミュニケーションをはかる前に、相手を分析考察することが必要な場合がありますが、

このさいには、二つの要素があると常々申しております。

  • 相手の立場分析
  • 感受性分析

今日は、相手の立場を分析することについて考えてみます。

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原発の将来については、立場によって意見がずいぶん異なっています。

ところで、原発再稼働を求める人たちの意見は、福島の事故発生以来ずいぶん変化しております。

当初は、電力が不足するというものでした。これはたいへん有力な意見に見えました。私はばかばかしいと思っていましたが、ずいぶん多くの人がだまされましたね。

しかし、2年すぎ、しかもいまのように猛暑でも、東電は電力供給に8%程度余裕を残しています。ですから、原子力がなければ電力危機に陥るというのは嘘でした。

元々、原発を動かしている分だけ、火力を休ませているのですから、不足するわけがないのが当たりまえです。

ややマイナーな立場ですが、核兵器をつくれなくなるから、という立場の意見もありました。

国家安全保障の観点からの意見です。しかし、これも嘘。その気になれば、1000発くらいつくれるはずです。それくらい核爆弾の材料は余っているわけです。

アメリカが核管理のパートナーとして日本に期待しているという意見もありました。これは対米外交に接する立場の人。これもややマイナーな意見でした。

しかし、アメリカ自身が原発をもう作らないと言っているのですから、それを日本が尻ぬぐいするというのはやはり通らないでしょう。

そして、原子力発電は安いという意見。これは電力が不足するという意見の次に出てきた大きな理由でした。

しかし、核のごみの廃棄、廃炉、安全新基準への対応、立地地域への補償など、元々かかるものを知らぬ顔していたコストがどんどん明るみに出た今では、原発の発電コスト上は火力発電に到底及ばないことが明らかになりました。

実際、電力が自由化されているアメリカでは、経済的な理由で原発の廃炉がどんどん進んでいます。

こうして、ようやく原発再稼働の人の立場がはっきり見えてきました。それは、原発を動かさないと電力会社の経営ががたがたになる、ということです。

原発はとめていても、全電力会社で年間1兆3千億円以上の費用が発生しています。

つまり、自分たち電力会社がつぶれてしまうという危機感が原発再稼働派の本当のところだったのです。

国民の安全を犠牲にし、税金を使ってコストの高い原発を稼働させ、電力会社を生き延びさせることなどばかげた話ですが、電力会社の社長の立場としては、なんとか生き残らなければということなのでしょう。

そして、これに対する利得権者(立地自治体、産経新聞を筆頭とするマスコミ、原子力ムラや自民党の政治家など)が電力会社を守ろうとしているわけです。

相手の立場がわかれば、対策はたてられますね。

コストの安い電力生産体制にしなければ、国際競争上不利になることは明らかです。自民の政治家は、短期的には原発は安いなどと詭弁を弄していますがそれは通りません。

結局のところ、原発は電力会社から切り離して国有化し、電力業界を自由化にして新規電力会社と対等に競争させるということが自然の流れだと思います。長い目で見れば、そうならざるを得ないでしょう。

相手の立場を見極める。それも本音を見極めないといけません。いろいろ言ってきても、それは本音から遠いことが多い。

個人のコミュニケーションでも、なかなか本音は言わないものです。それを察知するには相手の立場をよく理解する必要があります。

今日は触れませんでしたが、感受性分析はそれについても大きなヒントを与えてくれます。

立場分析と感受性分析は一緒に使うと非常によい判断資料をもたらします。

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍 

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

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コミュニケーションスキルのなかで、最もベーシックで、応用範囲が広いスキルが、ほめる技術です。

ほめる技術を徹底的に行っていくのが、初等科Ⅰの講座です。

L研リーダースクール初等科1

 

仕事を任せるときのコミュニケーション

はじめにお知らせから。

L研リーダースクールでは、人間行動学のセミナーを5月25日(土曜)、午後1時半から4時半まで東京銀座にて行います。費用は3000円です。

セミナーでは、人間分析について、ご紹介していきたいと思っています。

拙著『リーダーの人間行動学』では簡単な説明にとどめておりますが、もう少し具体的なことをお話してみたいと思っております。

→詳細・お申込みはこちらにございます。

では、本題に入ります。

今回は、健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役 臼井由妃氏の記事をご紹介しながら、意見を述べてみましょう。

成功の秘訣「やらない」「断る」「捨てる」 (プレジデント) – Yahoo!ニュース BUSINESS

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臼井氏がどういう方かよく存じませんが、記事の内容はなるほどと思わせることが多々あります。

そのなかで、リーダーのコミュニケーションに関連する内容をピックアップしてみました。

リーダーが部下に仕事を任せるときはどうするか。

マネジメントの観点からいえば、ゴールと制約を提示するということでしょう。

制約というのは、逆に言えば自由度ということです。

人間、何もかもやることが決められていたら、おもしろくもなんともない。

仕事の楽しみはなんといっても創意工夫することです。これは人間としての自由の欲求にかなうことです。

ですから、自由裁量の余地を与えないといけません。しかし、一方であまりに自由にされてしまうと、能力を超えていると思い不安になります。

さらにひどいのは丸投げです。これはリーダーが部下の仕事の品質を管理しない、いや管理できないことを意味するので、リーダーに対する信頼は地に落ちます。

ともかく、ゴールの設定と制約の設定は、仕事を任せるうえでの基本です。そして、仕事の進捗管理。これもマネジメントに不可欠です。

臼井氏の言葉です。

経験の浅い部下に仕事を任せるときは、寄り添うようなアドバイスや指導が必要です。私の場合は、仕事を任せるとき、まず最終的な到達地点を具体的にイメージできるよう説明し、納期を定めてスタートダッシュをかけ、次に中間地点で状況把握をするようにしています。腰の重い社員もいますから、中間地点に達しても、ほとんどできていないということもままあります。

そのときには、叱るのではなく「できない理由」を解きほぐして、ゴールまで伴走するように心がけます。できない理由は技量不足のこともあれば、優先順位のつけ方に問題があることも。近ごろ目立つのは、完璧な仕上げを目指すあまり、堂々巡りをしているというケースです。

では、これだけでいいかというと、コミュニケーションがまだ不足しています。

臼井氏はこんことを言っています。

一番よくないのは「忙しいから部下に仕事を頼む」という姿勢です。相手は敏感に「自分はたまたま暇そうに見えるから任されたのか」と思います。これでは部下のモチベーションは上がりません。

そうではなく、「私を成長させようと思って仕事を与えてくれた」と思わせなければいけません。それには「なぜ特定の相手にその仕事を振るのか」についての納得できる理由が必要です。

たとえば「○○さんは学生時代にデザインを専攻していたね。その知識や感覚が生かせると思うから、今度の仕事を担当してほしい」と言うのです。言外には「あなただから任せるんですよ」というメッセージが込められています。

ところで、このようなメッセージを発するためには、常に相手のことを知っていないといけませんね。

どんなに小さな組織であっても、リーダーたるものは常にメンバーの個性を把握しておかなければいけません。何が得手で何が苦手か、何を言われると喜ぶかということを、漠然とでいいから日ごろから注意深く見ておくのです。そうしないと、いざ仕事を任せるときに「理由」が出てこなくて困るでしょう。

そこで、人間をしっかり見る力が必要になるわけです。そのための勉強をすることは、リーダーにとってものすごくきいてきます。

私は人間を見る力をつけるとっかかりとして、感受性分析を学ぶのがとてもよいと思って、人にも勧めています。「リーダーの人間行動学」はその導入編とでもいいましょうか。

セミナーも5月25日(土)の午後に行いますので、お近くの方は是非おいでください。

→詳細・お申込みはこちらにございます。

拙著『リーダーの人間行動学』の冒頭部分を提示します。

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人間の価値観には10種類あります。そのどれを重視している人かを見極めると、リーダーシップが格段につきます。

コミュニケーションスキルと感受性の知識を併せ持つことが、これからのリーダーにとって、たしなみになるということです。

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船が座礁してしまい、乗客は救命ボートに乗り移ろうとしました。ところが、人数が多すぎて、何人かは岸まで泳いでいかなければなりません。どうやって説得するか。

イギリス人には
「ジェントルマンらしく行動してくれ」

ドイツ人には
「船長の命令である」

イタリア人には
「君は飛び込むな」

アメリカ人には
「保険に入っているから大丈夫」

日本人には
「みなさん、泳いでいますよ」

傑作なジョークですよね。いつも笑ってしまいます。

しかし、これはなかなか含蓄のあるジョークでもあります。つまり、人間は何によって動かされるかということなんです。

結局、人間はすべて合理的に行動しているのです。ただ、その合理性が他の人と一致しないだけなのだと思います。

その合理性とは、結局のところ価値観といえます。何を大事にしているか、ということです。

イギリス人は社会的名声をとても大事にしている。

アメリカ人は経済的利益をとても重視しています。

日本人は、組織の中での調和を重視しています。

これは人間の価値観の類型です。日本人のなかにも、イギリス人的価値観やアメリカ人的価値観をもっている人が当然おります。

説得のためにコミュニケーションを行おうとするとき、相手の価値観をしっかり認識しないと、まるで外国語で話しかけるようなことになります。

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Banar seminar525

■佐藤直曉著『リーダーの人間行動学』
人間の行動基準パターンとその理論を簡単に紹介しながら、応用として、歴史上の人物の行動分析を行っています。歴史上の人物には極めて強い個性をもっている人が多く、そのため特徴がはっきりでやすく、人間分析が比較的容易です。したがって、勉強材料としてとてもよいのです。

扱っている人物は、南極探検家スコット、乃木希典、空海と最澄、ショパンとジョルジュサンドです。 いずれも、極めてユニークな個性の持ち主ですので、特徴がわかりやすく、理解しやすくなっています。

各人物には、それぞれ質問を用意してありますので、読者はそれを考えれば、一層人間分析の意味が理解できるでしょう。

リーダーの人間行動学
立読み:こちらからどうぞ

■感受性メルマガ メルマガで感受性を解説しています。申し込みはこちら

責任をとりたがらない人への対策

リーダーみたいな存在にはなりたいけど、それに伴う責任は被りたくないという人がいますね。

例えば、ある企画に対する意見や反論は極めて手厳しい。

会議では非常に率先的に発言する。

ところが、「じゃあ、それでよろしく」と言えば、

「自分にリーダーは荷が重すぎます」と言って断固拒否の姿勢を崩さない。

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まあ、頭が良くて口はたつ。評論家に向いている人です。

二種には特に多い。

役人のような気質です。自分で責任はとりたくない。

もし責任をとる立場に立つと、胃潰瘍になります。

決断には向かない人間だと思って、言わせておけばいいでしょう。

「最後は俺が責任をとる」と言って、細かい作業をやってもらうのもいいでしょう。

それから、三種的な人にもこういうタイプがおります。これについては別の機会に説明しましょう。 

リーダーにとってのコミュニケーション力とは何か

新年あけましておめでとうございます。今年初めての記事です。今年の正月は一年の方針がなかなか決まらず、もやもやとした状態が続き、ブログに頭がまわりませんでした。

ようやく、少し手がつけられる状態になりました。

そんなとき、見つけたのがこの文章です。

以下は、読売新聞東京本社広告局マーケティング戦略部専任次長の小野秀夫氏のFacebookから引用しました。

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「社会人としての「コミュニケーション力」とは何かということですが、産経新聞社・人材育成事業室の植野伸治室長は、こんなふうに書いています。
× ×
テストを受けた大学生の中に、結果を伝える評価シートを見て、こんな問い合わせをした学生がいた。

「自分は友達が多く、コミュニケーション力が高いと思っていましたが、テストの結果を見たら、コミュニケーション力の評価が低かった。ショックでした。どうしてでしょう」

私は大学の就職指導担当者とともに、こう説明した。

「友人がたくさんいるということは素晴らしいことです。だけど、社会人になると確実に増えるのは、自分より年上の人や初対面の人との会話です。その方が圧倒的に多いでしょう。

テストではそのような環境の中で、自分の考えをわかりやすく伝える意識や、相手の言いたいことをきちんと理解できる姿勢が備わっているかを測りました。

あなたの話を聞いていると、あなたが『コミュニケーション力』と思っているのはフェイスブックの世界や、携帯電話の絵文字の世界で、それは、組織がまず求めるコミュニケーション力とは違うのです。

その学生が、「ハッ」とした表情をしたことを今でも鮮明に覚えている。」

バーチャルな世界での付き合いは、社会人に求められるコミュニケーション力とは少し違うと言うことでしょうか。

でも、そのうちこの学生さんのようなものがコミュニケーションだと言われるようになるかもしれません。そういう人材も必要かもしれませんがね。

社会人にとってのコミュニケーションとは

一方、社会人ですと、コミュニケーション力があるということを、世渡り上手の人というような意味で使う人をみかけます。

リーダーの場合は、初対面の人もさることながら仕事上でのおつきあいのある人ということになりますね。どちらかというと、初対面でない社内の人の方が多くなるかもしれません。

それだからこそ世渡り上手をコミュニケーション上手というのかもしれませんが。

リーダーにとってのコミュニケーションとは、自分の考えを部下にうまく伝えながら、部下に気持ちよく動き働いてもらえる能力です。

このコミュニケーション力というのは、単に言葉をうまく操れるというものではないでしょう。むしろ、相手の心をうまく理解できるということです。

相手の気持ちが分からないで、自分の都合ばかりを話していてもコミュニケーションにはならないでしょう。

となれば、人間とはどういうものかを勉強しないといけないでしょう。私がよく言う人間分析力ともかかわってきます。

また、自分の考えがすっきりまとまっていないといけません。それは、発想力とか統合力ともかかわってきます。

単なる話し方の勉強ではないということですね。

看護職場で人間関係に悩む人

今日は看護師のお悩み相談のサイトから題材をとりました。先輩とうまくいかない後輩看護師さんのこんなお悩みが載っています。

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「少しでも役に立ちたいと思って自分に出来ることを探し、
必死に働こうとすると「余計なことはしなくて良い」との言動を受ける。
手を出して怒られたから・・・、と大人しくしていると
『動こうともしないで、役立たず』と責められる・・・。

動いても、動かなくても責められる・・・

いったいどうして欲しいのか、理解不能です。
『手を出すな』と言っておきながら『手伝え』は矛盾していると思います。
そんなことは不可能です。

このような先輩に対し、どのようなお付き合いをするのが最良なのでしょう。
因みに『手伝えることはありますか?』と聞いても『ない』と言われます。

同じように悩んでいる方の他、後輩に対してこのように接している方から
意見を頂きたいです。」

理解不能。どうして欲しいのですか?(動いても、動かなくても責められる・・・):看護師お悩み相談室

この相談に対して割りと多かった回答は、「手を貸すタイミングをもっと考えた方がよい」というものです。

そうなんんでしょうね。

読んだ印象では、この先輩看護師は9種的だと思いました。愛情は非常に深いので、看病人に対しては非常に尽くします。

ただ、9種は自分でなにもかもやらないと気がすまない。人に手出しされるのをとても嫌います。だから、人が看護にのこのこやってくるのを毛嫌いします。

それと、「察せよ」という感じで、人に絶対いちいち説明しない。独断と偏見の人といえます。

こういう人は“相手の気持ち“に非常に敏感なたちなので、相手の気がこもっていないと受け付けません。その代わり、気がこもっていると非常に喜びます。

一生懸命先輩の姿を観察して勉強しよう、技術を盗もう、というような態度を見せれば、喜んでくれるでしょうね。

L研リーダースクールの初等科1と初等科2を卒業した方には、人間分析科で人間の見方をお教えしています。これを勉強すると、相手が見えてきて人間関係が随分楽になるのですがね。

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■人間分析のテキスト

佐藤直曉著『リーダーの人間行動学』では、人間の行動基準パターンとその理論を紹介しながら、歴史上の人物の行動分析を行っています。扱っている人物は、南極探検家スコット、乃木希典、空海と最澄、ショパンとジョルジュサンドです。 いずれも、極めてユニークな個性の持ち主ですので、特徴がわかりやすく、理解しやすくなっています。各人物には、それぞれ質問を用意してありますので、読者はそれを考えれば、一層人間分析の意味が理解できるでしょう。本書はL研リーダースクールの人間分析科のテキストです。

リーダーの人間行動学の立読みはこちらから

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

立読みはこちらからどうぞ

人は何を認められたいのか

自分の気持ちが認められていないと思うときぐらい、辛いことはないのかもしれません。私はこのことを考えるとき、ある家庭奉仕員の書いたエピソードをいつも思い出します(4)。ちなみに、これは三十年以上前の話です。家庭奉仕員とは、自治体が雇用するホームヘルパーとお考え下さい。

Mばあちゃん――当時八十五歳――と出会ったのは十五年前。家庭奉仕員として大きな荷物を背負ったような気持ちになった最初の人でした。

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「Mさんのことをなんとか頼む」と、役所の係の人から言われたことが頭から離れなかった。

女一人、八十を過ぎたこの独居老人は、「みんなでおれをバカにして、物を取り上げてしまった」と言い続け、どうなだめても人との接触を好まなかった。

訪問開始後、二、三ヵ月間、無我夢中で敷居をまたぐ。しかし、「また来たか、また来たか」と上目づかいでジロリとにらまれ、追い返されるだけ。

「いったい何をしてきたんだ。こんなに早く帰庁して」と、役所の人に言われないだろうか。役所までの八キロの道を憂鬱な気持ちで歩いて帰る。

だが、Mばあちゃん、根がつきたのか、ある日のこと、仕方がないといわんばかりの顔で、やっと土間の上り台の上に座らせてくれた。これで、苦しい日のことが嘘のように消えた。

この人に何をしてあげたら心が打ち解けて中に入れてもらえるだろう。そう思いながら通っていたある日、ふとたずねた。

「息子さんは」

そう問うたら、大きな涙が頬を伝って

「戦死」

とポツリ。

一瞬にして謎がとけたような気持ちになった。Mさんは私が仏壇に手を合わせることを拒まなかった。

それから、しばらくして、峠の山百合を黙って供えて帰った。金で買う花よりも、何気ないしぐさのほうがよいだろうと思い、家からの道すがら、手折した山百合である。

次の訪問日、Mさんはたとえようがないほど喜んで迎えてくれた。

ある吹雪の夜などは、当時三歳と七歳だった私の子供のことをしきりと気にかけてくれた。

「おれは大丈夫だから、内緒で子供のところに早く帰れ」

「子供はいない」

と言うと、

「その若さでいないというのは嘘だろう。子供はかけがえのないものだぞ。早く帰れ」

と怒鳴り声をあげるように気を使ってくれた。

嘘も方便。次の訪問時、

「子供がたいへん喜んで」
と礼を言う。

Mさんのなんともいえない顔。またしても、八キロ歩いて帰庁。

人は認めるように育つといいます。素直な子だと認められると素直になり、正直な子だと言われると、嘘がつけなくなります。また、逆らう人には、逆らうことが素晴らしいと認めると、逆らいながらついてきます。

なぜ、そうなるかというと、人間は認められたいという欲求が根源的にあるからです。これは潜在意識に根ざした深い欲求なのです。

ですから、人が苦しんでいたら、何を苦しんでいるかを見つけ出し、それを認めてあげなければなりません。先ほどのMさんのようにです。

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■リーダーシップ向上に関する参考書籍

本稿は、佐藤直曉著『リーダー感覚――人を指導する喜び』(鳥影社)の一部です。

 

本書はL研リーダースクールの通信講座初等科Ⅰのメインテキストです。初等科Ⅰでは、人の心を動かす訓練としてほめる訓練を実践していただきます。この講座は、受講生に技術的アドバイスを行うとともに、受講生の成長を見守っていく実践型プログラムです。

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