個人間のコミュニケーションだけでは解決しない問題

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ある工場で改善活動をしようとしているとき、ある職長さんが非常に反対して職場全体の空気を盛り下げている。

そんなとき、リーダーはどういうアプローチをとるでしょうか。

ふつうに考えるのは、なんとかこの職長さんを説得して、改善活動に積極的に向かわせようとすることでしょう。

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リーダーはこういうとき、対人コミュニケーション能力が必要になります。

どんなことで反対しているのか、何か不快なことがあるのか、あるいは自信がないのか、

対話を通して本音を探り、対策をたてる。支援をする。

これは問題の争点をなんとか処理しようという方法です。

これはこれで大事なのですが、別のアプローチもありうるのです。

しかし、あまりこういうことに多くの人は気がつかないでしょうね。

個人を変えようとしなくても、全体を変えることで、変化をもたらすこともできるのです。

それには、組織のなかで最も動きやすいパーツ(動かしやすい人たち)を振動させる。

すると、それに呼応して別のパーツも振動をはじめる。

そうやって、組織全体に波紋が広がり、振動が隅々まで伝わるようになる。

戦争なんかそういうことが多いですよ。

第一次大戦は、セルビアでしたか、どこでしたかが発火点となって、いろんなところに飛び火したわけでしょう。

会社のなかだって同じことなんですよ。

何を言っているのかわからないかもしれませんが、これが伝動戦略であり、暗示型戦略なんです。

武力ではなくて、思想を伝播することで組織全体を動かすということです。

そうなると、反対する人はだんだん置いてきぼりになっちゃうんです。

反対者を無理やり誘わなくっても、離れ小島になってしまう。

それがいやなら、いっしょに協力しましょうよ、ということですね。

詳しくはこちらを参照してください。

暗示型戦略とは暗示型戦略の詳細解説はこちら 

 

 

コミュニケーションで気を合わせる

言葉以前に、波長を合わせる、もっと言えば、気を合わせる、ということは実際にはとても大事です。

いやなやつだな、と思っていたら、とてもじゃないが話を聞く気になりませんね。たとえ、それがどんなにいい話でも、かなりの確率で反発を買うか無視されます。

よいコミュニケーションのためには、ラポール(精神的な感応)が必要になります。

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コミュニケーションに入る前の気分の持ち方

おもしろい話ができない、話がとぎれて沈黙が怖い。いろいろコミュニケーションには悩みが多いと思います。

だいたい、こういうのは始めて会ったときに決まってしまうような気がします。

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つまり、初対面の時に、愉快な気持ちが通じれば、話はどんどん進んでいく。自分がしゃべらなくても、相手がよく話してくれる。

はじめに相性がいいような気がすると、話がどんどん進んでいく。本当に相性のよい人には下手な術策は不要ですが、そうでない相手にもある程度コントロールできると有り難い。

では、どうすればいいか。

愉快な気持ちで人に会うことです。

セールスマンの本に、朝出がけに鏡に向かって笑ってみる、というようなことが出ていました。

これは、笑うことに意味があるのではなく、楽しい気分を維持して相手に会う、という原理だと私は思っています。

要するに「これから楽しい会話をしよう」と思って、人と会えばよいのです。

深刻な顔であいさつされたら、相手も逃げたくなりますね。

 

これは面談だけでなく、面接試験などにも使えます。この方法を教えてずいぶん役に立ったと言ってくれる人がいます。私自身もプレゼンをするときには、会場に愉快な気を通すつもりでやります。

 

リーダーは声なき声で人と対す

朱に交われば赤くなる、ということわざがあります。

これは、一種の感応現象です。

感応とは、以心伝心というか、ラポールともいいますね。

感じあって、同じような気持ちになることです。

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おそらく、優秀なセールスマンはこの能力が相当高いのではないでしょうか。

あるセールスマンに聞いた話。

すごく調子がよくて気分がいいときは、訪問して話を聞いてもらえると、すぐ買ってもらえる。

ところが、スランプになって気分が暗いときは、ベルを押しただけで門前払い。

このことから推測するに、セールスする前には、お客さんに対して明るい気持ちで接しなければ、いくら営業トークがうまくてもダメのようです。

ですから、朝家を出る前に、鏡を見て笑顔をつくれ、というセールスの本を読んだ覚えがあります。

いや、セールスでなくて、精神科学の本だったか。

ともかく、感応現象をうまく使えれば、非常に有効なのでしょう。

ですから、セールストークを勉強する前に、こっちも学んでおいて損はなさそうです。

いつも明るい気分をまわりに振りまく自分を維持するということもリーダーには大事なことかもしれませんね。

私が個人コンサルティングを行うときは、いつもこういうことを肝に銘じております。

最後はコミュニケーションの技術ではなく、そういう気分の伝播のようにも思うわけです。

コミュニケーションと感応現象

gooのコミュニケーション能力が高い人の会話の特徴ランキングによると、

1位:話の腰を折らず、最後まで聞いてから自分の意見を伝える

2位:常に自然な笑顔をキープしている

3位:一方的にしゃべらず、相手からも会話を引き出す努力を怠らない

だそうですよ。

1位と3位は、要するに人の話をよく聞ける人、ということでしょう。

ワンマン社長さんには、頭のいたい話でしょう。

しかし、……====おもしろいもので、この人たちは自分では人の話を聞いているつもりなのです。

だから、ビデオで自分の姿を撮っておき、あとで見ると愕然とする。

そんなNHKの番組を見たことがありますよ。

みんな常識としてはもっているわけです。人の話を聞くのはよいことであり、自分でもそう努めていると。でもできていないのです。

できないものを追いかけるのもつらいでしょう。相当忍耐心がいります。

できる人はおやりになればいい。できない人は無理するなということ。

2位の常に自然な笑顔をキープするだって、当たり前のことであり、誰だってそうしたいと思う。

営業マンなんかは特にそうでしょう。

よく営業マンが言うのが、のっているときは不思議と注文がとれる。逆に、スランプで気が滅入っているときは、いくら頑張っても仕事がとれない。

笑顔になっていないから、というのもまんざら間違いではない。結果的にはですね。

しかし、意識して努力して笑顔をつくっても、少し時間がたつと結局元の木阿弥。日ごろの心が反映する顔になってしまう。無意識の状態では、なかなか笑顔にはなりません。

ですから、笑顔をキープしようなどと考えても仕方ないことです。

それよりも、いつも楽しい気分で生活しようと決意した方が効果はあります。

会議のときでも、楽しい気分で会議をしようと思っている方が、人の話を聞いてよいコミュニケーションをとろうなどといったむなしい努力をするりもよい効果があるでしょう。

これを分析すると、たぶん感応現象ということだと思います。

感応現象とは、「朱に交われば赤くなる」とか「勇将の下に弱卒無し」の類ですね。

リーダーは、感応現象を使いこなすことをコミュニケーションの原点として考えてみてください。