質問の効果

コーチングでは「気づき」を与えるきっかけとしての「質問力」を訓練することがよい、という人がいるそうです。

私は質問を部下の指導や気づきのために意識的に使ったことは、あまりありません。

私は出身が経営コンサルタントなので、質問はもっぱらクライアントやそのユーザに対するインタビューが中心でした。

ところが、私のインタビューを受けると、たいていの人が非常に気分がよくなるらしいのです。

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ある会社の社長さんにインタビューに行ったのですが、何ヶ月してまた会う機会がありました。

そのとき「うちの会社に来ないか」と誘われました。

突然でびっくりしたので理由を聞くと、

「ポイントをついた質問に感心した」ということでした。

丁重にお断りしましたが、ポイントをついた質問をされると、だいたい嬉しがるものです。

仮にそれが相手が抱えている問題であっても、それなりに評価されます。結果的に、それが相手に「気づき」を与えたのかもしれませんが。

業種によって質問タイプはいろいろあると思います。

たとえば、新聞記者。

うまい新聞記者の場合、インタビューされている相手が、その記者が自分の味方だと思えてきて、どんどんしゃべってしまうのだそうです。

新聞記者は別に味方になろうとかいった気持ちはなくて、ただ事実を聞きだそうとしているのですが、それが自分の意見を支持してくれているような錯覚をもつのだそうです。

あるいは、私のインタビューも多分にそういうところがあるのかもしれません。

コンサルタントにはコンサルタントなりの、またジャーナリストにはジャーナリストなりの質問の仕方があり、場数をふまないとなかなか進歩しませんが、みなさんも練習してみるのもいいかもしれませんね。

質問をされると、相手は考え始めます。人間の癖のようなものかも知れません。つまり、しらないうちに相手は思考のスイッチを入れるわけです。

人間は自発的に行動することが快なのですが、質問をされて答えを考えることは、自発的に行動しているような錯覚を与えます。

さらに、質問の仕方によっては、相手の考えをこちらの狙いの方向に誘導することも可能でしょう。こうなると、一種の暗示的効果をもたらすことになります。

それは高等技術なのかもしれませんんが、少なくとも相手に集中力をもたらすことは可能です。質問されたら、それに答えるために思考を集中させるわけですから。

人間は集中するとき快を感じます。ですから、よい質問によって集中させられると快感がもたらされ、それが質問する相手に対する好意を生むのかもしれません。

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■リーダーの暗示学に関する参考書籍

本稿は佐藤直曉著『リーダーの暗示学――部下の心をリードする』(鳥影社)の一部を抜粋引用しながら、加筆したものです。

本書は、リーダーシップを実践的につける訓練法を紹介しています

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