コミュニケーションとは似て非なる問題

コーチングなどでは、「相手の立場に立って考えてみろ」と言います。

いかにも良いことを言っているような気がしますが、常識は疑って考える必要があります

たとえば、営業をあげたい“いけいけどんどん”の営業部隊長と、怪しげな顧客との取引リスクを回避したがる管理部門スタッフが対立したとします。

こういうことは、企業ではよくあることです。

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お互い感情的になって、いつもやりあっている。

そういうとき、コーチングではよくこのように提案するらしい。

相手になりきったつもりになり、相手がどのように物事を考えるか、そして、自分の言葉がどのように伝わるかを実感する。

これによって、「相手の立場に立って考える」ことができるようになる。

でも、相手の立場に立って,相手の考えがわかったとして、どうなるのでしょうか。

お互いのことはわかっている。立場だってまあわかっているでしょう。

営業の方は「あいつは小心者の管理屋だ」と馬鹿にし、管理の方は「ただの猪突猛進だ」と馬鹿にする。

コミュニケーションの問題とは思えません。仮にお互いの立場がわかったとしても、業務の性格からして解決はできない。

相手の立場がわかっても、自分の立場が優先される。

これは、結局は会社の意思決定の仕組みの問題でしょう。

だから、だいたいはそのとき声の大きい方が勝つ。

それから、別の話ですが、部長が社長からの情報をあえて部下に知らせないということもある。

部長はそうすることで、部下に対して情報優位となり、自分の地位を保てるからです。

情報が伝わらない部下が社長に不平を言って、それを聞いた社長が部長に「コミュニケーション研修を受けてきたら」と薦めても役にたちません。

これはコミュニケーションの問題ではないので、ダメなのです。

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