コミュニケーションは相手の感受性に沿って行うべし

人間にはそれぞれ独特の心理的傾向というものがあって、その傾向に沿った空想しか浮かびません。これを感受性傾向と呼びます。

話をするときも、この空想傾向に沿って展開しないと、なかなか伝わらないものです。

もっと言えば、この感受性傾向に沿った話をしないと、相手は全く反応しません。ほとんど外国語で話しかけるのと同じことになってしまいます。

この感受性傾向には大ざっぱに言って10種類があります。

みなさんは、空海と最澄の対立をご存知ですか。

二人は、9世紀前半における仏教界における巨頭でした。空海は真言密教、最澄は天台宗の開祖です。

両者はまったく違う感受性を持っていました。

空海は天才肌で、体感を非常に重視する人でした。一方、最澄は学者肌で秀才、勉強大好き人間という感じでした。

最澄はある理由から、空海に密教を教えてほしいと頼んだのです。すると、空海は快く応じました。ただし、修行については、空海の直接の指導を受けないとだめだと言ったようです。

密教は、インド土着の呪術がもとにあるので、印を組んだり、行をすることがとても重視されたのです。それには、師から直々に教えを受けねばならない――そうれが空海の考え方でした。

ところが、最澄は勉強家でしたので、そういうのが全然わからない。ひたすら、空海から経典を借りまくり、一生懸命それを読んで勉強しようとした。

それで、ついに空海が怒り出してしまったのです。それが有名な二人の対立の発端でした。

私に言わせれば、空海が最澄に自分流の修行法を求めるのは、しょせん無理なことでしたね。最澄は、とにかく学者肌、お勉強家なのです。

そういう人って、我々のまわりにもいるでしょう。そういう人に、いくら現場を重視しなきゃだめだって言ったところで、言うことを聞きませんよ。

理屈ばっかり言ってる人なんです。実際には、現場の感覚が、まるで理解できない人なのです。

どうも、さすがの空海さんも、そこまで思いが至らなかったようです。最澄を動かすには、最澄の空想が働きやすいような空想を、与えなければならなかったのです。

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■感受性に関するテキスト

『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える』(鳥影社)は、歴史上の人間(探険家スコット、乃木希典、大村益次郎、ショパンとサンド、空海と最澄)の行動分析を感受性理論で行っています。営業や対人折衝のヒントになります。立読みはこちら