コミュニケーション能力向上には実践訓練を繰り返すことが必要

ちょっと極端な例を述べますので、考えてみて下さい。

あるリーダーが部下をほめようとしました。

このリーダーは、私の本をよく読んで勉強し、部下がどういう人間かよく考え、彼の長所を見つけ、彼の優れた専門知識をほめました。

このリーダーは、彼にふさわしい言葉を選んでほめたつもりになっていました。

ところが、部下は「何を言ってるのだろう」と、まるで相手にしません。それどころか、かえってしらけてしまいました。

なぜこういうことが起きるのでしょうか。

種を明かせば、この上司がその分野についてまるっきりの素人だったからです。

部下は「何も知らない素人のくせに、よく言うな」と思っただけでした。

知識の豊富な人間は、知識の劣る者からほめられても、あまり嬉しくありません。それはそうでしょう。

プロ野球の新人選手が、アマチュアの選手に「うまいですね」とほめられたって、特別嬉しいとは思わないでしょう。

でも、長嶋さんや王さんに「見所がある」とほめられたら、それはもう天にも登る気持ちになるでしょう。それと同じことです。

こういうことはすべての場合にあてはまります。

あなたが後輩をほめるのと、上司が後輩をほめるのとでは、同じ言葉を用いたとしてもインパクトがまるで違ってきます。

人間関係とは、常に彼我の固有な相互関係なのです。

固有な関係ですから、あなたと後輩との関係と、上司と後輩の関係はまるで違うもののはずです。

二人の関係は、ほかの世界のどこにもないものであり、その特殊な関係においてのみ、会話が成立しているのです。

ですから、ほめたり叱ったりするとき、両者の関係にふさわしい言葉を選ばなければ効果は発揮されません。

(以上、拙著『リーダー感覚』より)

人間関係が個別的なものであること――コミュニケーションを勉強する上で、このことは非常に大きな問題を生じさせます。

本やセミナーで紹介された理論や事例をそのまま使おうとしても、役にたちません。

そこから先は自分の状況に応用することを考えなければいけません。

結局、大事なのは応用力です。

応用力を高めるためには、きちんとした理論を学ぶこととと、それを実践で試しつづけ身に付けることです。

ところが、多くのコミュニケーション研修は1日とか数日限りで終るものが多いでしょう。

その場ではわかったつもりでも、なかなか身につきません。

その理由は、実践をフォローしないからです。

L研リーダースクールの講座は通信教育制で、実践をフォローすることに主眼を置いています。

 

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コミュニケーションスキル:説得の技術