リーダーコミュニケーションとほめる技術

大分前になりますが、2007年の3月に日経新聞の「私の履歴書」に宮城まり子さんが起稿しておられました。

最終回の31日に、こんなエピソードがありました。

森ビル社長の森稔氏との会話です。宮城さんの子供たち(ねむの木学園)の描いた絵を見て、森さんはたいへん感心し、宮城さんにたずねました。

「子供たちにどのように教えているのですか」

宮城さんは、教師は付き添うだけで、環境や雰囲気を整え、本物の絵を見せるようにはしているが、教えるのはよくないように思っていると答えました。

すると、森さんは非常に興味を抱いたようで、さらに聞いたそうです。

「絵を描いてもってくるだろ。そのとき何て言うの。『上手いね』とか『ここがいい』とか言うの」

「言いません。『これうまく描けた』って言ったら、子供はその場所で終わるような気がしますから」

「何て言うの?」

「私は『あーうれしいわ』って言います」

宮城さんによれば、そう言われた子供は、人を喜ばせたことを幸せに思ってくれるそうです。それを聞いた森さんも感心したようです。

実は、これに似た話は野口晴哉先生もしております。

子供がお掃除をしたので、「ほう、掃除がうまいね」とほめたところ、今度は人の部屋まで掃除している。しかも、わざわざ汚して掃除するというのです。つまり、これはほめられたくてやっているわけです。

野口先生によれば、これはほめ方が悪かった。「きれい好きだね」と言えば、汚れている部屋がいやになり、掃除するようになるというのです。

ほめる場合の副作用は、ほめられたいがためにやるようになること。子供のことだと思ってはいけません。大人も同じなんです。

こういう場合に、間接的にほめる技術が役立ちます。