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立場を理解するだけではコミュニケーションにはならない

拙著『リーダーの人間行動学』では、「人間行動の背景には、その人独自の行動基準がある」ということを主張しています。

世間一般では、指導にしろ、付き合いにしろ、人間関係で大事なのは、「相手の立場に身を置いて」考えることだと言われています。

しかし、これは私に言わせればとても危ういことです。

なぜならば、多くの人は、せっかく相手の立ち場に身を置きながら、無意識に「自分の行動基準」で考えてしまうからです。

これではまったく意味がないことになります。


これを防ぐには、そもそも人間には行動基準が10種類ほどあり、どれを採用している人かがわかっていることがよいと思います。

そうすれば、無用なミスを生む可能性が減少する、というのが私の主張です。

本のなかでは、歴史上の人物をケース分析していますが、その行動にはいろいろ異なる評価が与えられています。

たとえば、ショパンの愛人だったジョルジュ・サンドは、最後はショパンと別れてしまうのですが、その理由が諸説あります。

——サンドは高名な作家で多忙であり、病弱なショパンを面倒みられなくなったという説。

——ショパンの病状が悪化し、神経症的な状況を見せ、介護できなくなった、という説。

しかし、サンドが「弱い者ほど庇いたくなるタイプ」、つまりこのブログで言う開型10種だと分かっていれば、上の推理はなりたちません。

上の説は、結局のところ、推理者自身の行動基準でしかありません。

こういった評価——手前勝手な評価や推理はいたるところで見られます。

『リーダーの暗示学』で取り上げた、徳川慶喜の鳥羽伏見の戦いでの遁走劇。これも諸説あります。

——そもそも軍隊を京へ送る気は自分にはなかったのだという、慶喜の晩年の弁解を素朴に信じる説。

——朝敵となったことに恐怖したとみる説。

——江戸へ帰って体制を立て直し、あらためて戦争するつもりだったという慶喜に好意的な説。

これなども、慶喜の行動基準を分析すれば、答えはだいたいわかると思います。

諸説が生じるのは、結局のところ、推理者が自分だったらこうするだろう、と考えるからです。

つまりは、相手の立場に身を置きながら、自分の行動基準で考えてしまう悪癖のせいなのです。

思い込みはできるだけ排除しないと、人間をうまく扱えないと私は思っています。

人付き合いや人間関係の悩みも、多くはそういうところにあると思っています。

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■関連資料:佐藤直曉著『リーダーの人間行動学』
人間の行動基準パターンとその理論を簡単に紹介しながら、応用として、歴史上の人物の行動分析を行っています。歴史上の人物には極めて強い個性をもっている人が多く、そのため特徴がはっきりでやすく、人間分析が比較的容易です。したがって、勉強材料としてとても適しています。

本書はL研リーダースクールの通信講座コミュニケーション科や初等科のメインテキストです。

扱っている人物は、南極探検家スコット、乃木希典、空海と最澄、ショパンとジョルジュサンドです。 いずれも、極めてユニークな個性の持ち主ですので、特徴がわかりやすく、理解しやすくなっています。

各人物には、それぞれ質問を用意してありますので、読者はそれを考えれば、一層人間分析の意味が理解できるでしょう。
リーダーの人間分析講座,コミュニケーション力をつける-リーダーの人間行動学

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